【医療介護あれこれ】外来医療(その1)について②

長 幸美

アドバイザリー

厳しい寒波が押し寄せ、各地でインフルエンザが猛威を振るっています。
皆様の医療機関は如何でしょうか?

前回は、「医療提供体制」「患者の状況」「診療内容と医療費」の関係をみてまいりました。さて、今回は前回の診療報酬改定の中でどのようなことを注目され、評価してこられたのかを見てみましょう。まずはおさらいです。

診療種別ごとの医療費の動向ですが、医科の「入院」「入院外」ともに伸びてはいますが、「調剤」が大きく伸びていることがわかるのではないかと思います。

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その中で前回の診療報酬改定で一番大きく評価が変わってきたところは、「地域医療構想」を後押しするために、「地域医療」「治し支える」というところに多くの評価や見直しが加えられたことだと思います。

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診療報酬の内訳は上記のグラフのようになり、平均の点数は、病院で1300点程度、診療所で650点程度となっています。前回のコラムで、平均構成のグラフを載せていますので、ご覧ください。

 

【診療報酬上の評価】
診療報酬上の評価として注目すべきところは、やはり、「地域包括ケアシステム」推進のための取り組みを高く評価してきたところです。

具体的には、昨年の診療報酬改定で「認知症地域包括診療料」「小児かかりつけ診療料」などで、主治医の機能を評価されていますし、紹介状なしの特定機能病院や500床以上の大病院への受診に選定療養を付けるなどの措置が取られています。また、精神科医療の評価としては、多剤投与に対し診療報酬上の評価の見直しが行われました。

【遠隔診療について】
遠隔診療に関する診療報酬としては、「医師と医師の連携」に関するものとして、放射線の画像を専門医のいる病院へ転送して診断を受ける場合や、術中の迅速診断を病理医のいる病院へ病理画像を転送して診断を受けるなどの取り組みについて診療報酬上の評価がついてきています。

また、「医師と患者」の間では、電話やテレビ画像等を通した再診について、通常の医学管理を行っている医師が、患者の病状の変化に応じ、患者や家族に求められた場合に医学的な観点から治療上必要な指示をした場合、算定ができるようになりました。検査画像情報提供加算(退院時200点、その他30点)や電子的診療情報評価加算(30点)という形ですが、施設基準としては他の医療機関と連携した「患者の医療情報に関する電子的な送受信が可能なネットワーク構築」を求められていて、単なるメールの添付やCD-ROMでの提供では難しいようです。
その他、「心臓ペースメーカー指導管理料(遠隔モニタリング加算)」として、療養上必要な指導を行った場合に算定が認められていますが、その他の医学管理料・在宅療養指導料については認められていないのが現状で、先日九州厚生局の見解が「説明会」という形で医療機関側には伝えられているとお聴きしています。明確な判断は出されておらず、現状では72点の再診料のみの算定となるところが課題となっているのが現状だと思います。

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情報通信機器を用いた診療、いわゆる「遠隔診療」については、あくまで直接対面して行われることが基本としながらも、直接対面診療の補完や直接対面診療の代替えし得ると判断された場合は「医師法第20条に抵触しない」とされながらも、「患者の心身の状況に関する有用な情報を得られる場合」と条件をつけ、直接対面を行ったうえで行うと、初診には認めない方針は明らかにされています。

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今後の課題としては、小児科をどのように確保していくのか、また、高齢者の医療と介護もどう確保していくのかは課題といえると思います。高齢になるほど医療度が高くなり、外来受診率が高くなり、外来医療費の中でも調剤の伸び率が高いことも、課題の一つになると考えられています。
診療報酬上の評価としては、地域包括ケアシステム推進のためのある一定の評価を行っていると考えられているものの、外来医療のニーズの変化や多様性も踏まえ、より質の高い適切な外来医療が提供できるよう、外来患者様の特性や病態に応じた評価や、新たなサービス提供の在り方等について、検討が必要であるとの見解が示されています。

これから来年に向けて、注目していきたいと思います。

 

<参考資料>
外来医療(その1)・・・ 中医協 総-5資料 平成29年2月8日

経営支援課

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