割増賃金について

石井 洋

人事労務

昨年10月21日、厚生労働省から平成21年4月から平成22年3月までの1年間で、全国の労働基準監督署が割増賃金の支払について労働基準法違反として是正を指導した事案のうち、1企業当たり100万円以上の割増賃金が支払われた事案の状況が公表されました。主な結果は下記の通りです。
是正企業数:1,221企業
対象労働者数:111,889人
支払われた割増賃金の合計額:116億298万円

また、是正指導の結果、割増賃金を是正支払した状況についてみると1,000万以上を支払った企業数が多い業種は上から製造業(49社)、商業(33社)、保険衛生業(17社)、100万以上を支払った企業数も製造(329社)、商業(287社)、保険衛生(103社)の順となっています。左記データから見て分かるように、医療業も割増賃金の是正指導について全く関係ないという事はなくなってきたと言えるでしょうか。
また労働基準監督署の指導とは異なりますが、散見されるケースとして、退職の際に割増賃金の請求を受けたというご相談を頂いた事があります。近時は割増賃金の問題に限らず、労働基準監督署に労働者の方やその家族の方から相談があり、その中で監督指導が実施されるという場合もあるようです。
割増賃金不払とされる可能性をいかに減らしていくかというところで、なかなか解決が難しい問題はタイムカードの打刻時間と実際の残業時間として処理されている時間に乖離が見られるケースです。この乖離をどう減少させるかとなると、やはり基本的にはタイムカードを打刻した後は速やかに退社するという職員様への意識付けが鍵となってくると思います。また残業を行う際には何かしら申請のフローを設け、なぜその残業が必要なのか、残業が発生した原因は何か、改善する術はなかったのか等を出来る限り上長や所属長がコミュニケーションを取り、残業時間を根本から減らしていくといった検証の取り組みも必要でしょう。
法律的な観点で申し上げると、例えば繁忙期が月のうちで決まっているような会社様であれば、変形労働制の採用も法で許されているところですので、何らの手立ても採らないという事ではなく、自社にあった対策を一度考えてみられてはいかがでしょうか。

人事労務支援課 社会保険労務士

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