ご存知ですか? 森林環境税

楢橋 信一

税務・会計

現在、福岡県・山口県・熊本県など33の県で、 森林環境税 が導入されております。各県独自の名称がついていますが、例えば滋賀県は「琵琶湖森林づくり県民税」、和歌山県は「紀の国森づくり税」などご当地の特色を表したものもあります。

この税は、森林の再生・育成を図り、豊かな共有財産として次世代に継承していく目的で創設され、法人・個人それぞれの県民税に上乗せされて徴収されています。
税の使いみちと導入の背景について、福岡県のケースを見てみたいと思います。

まず、使いみちは次のとおりとなっております。

① 長期にわたり未整備の森林で、公益的機能が著しく低下している人工林の間伐、枝落しなど
② 伐採後一定以上の間放置され、植栽によらなければ更新が困難と見込まれる林地への広葉樹の植栽など
③ ボランティア団体、NPO等が自ら企画して行う森林づくりなどの活動への補助

導入の背景ですが、福岡県内の森林面積のうち、約3分の2を人工林が占めるそうです。この人工林を健全な森林に育てるためには、人の手で定期的な手入れを行う必要がありますが、林業の低迷などから長期間手入れされていない荒廃した森林は増加の一途を辿っております。このまま放置すると森林の公益的機能が低下し、洪水や渇水、土砂災害が発生する可能性が高まるなど、生活の安全性・安心確保に大きな影響を及ぼす恐れがあることから、この制度を導入し、森林の再生を図ろうとしています。

私たちの生きる源である、水・食物・空気も森林と密接な関係があります。 この税が、森林の再生と豊かな自然の次世代継承に貢献することを願うばかりです。

財務コンサルティング部 第二部

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