配偶者控除が見直しされる可能性も

石井 洋

人事労務

以前から中長期的な課題として検討課題に挙がっていた「配偶者控除」の見直しが「骨太の方針2015」に女性活躍の政策の一つとして盛り込まれる可能性が出てきました。
配偶者控除は、妻の収入が103万円以下ならば夫の課税所得が所得税で38万円の控除が受けられる制度ですが、配偶者控除を受けるために就業時間を抑えて収入を抑えるケースもあり、配偶者控除が女性の就労意欲をそいでいるとの指摘もあります。(いわゆる103万円の壁)

そこで、政府税制調査会がまとめた見直しの案としては、①配偶者控除を廃止し、妻の年収に関係なく一定額を夫婦の所得から控除する夫婦控除の創設、②配偶者の収入に関わらず夫婦2人の控除の合計額を同じにするため、配偶者控除を見直し、配偶者が使い残した基礎控除額を納税者本人に移転させる移転的基礎控除の創設、といった案が示されています。

ただし、配偶者控除の問題は税制以外にも課題があります。多くの企業で支給されている家族手当等の支給基準に「配偶者の年収103万円以下」となっている場合が多く、配偶者控除を撤廃しても家族手当を優先することも考えられ、また配偶者の年収が130万円を超えると年金や健康保険などの社会保険への加入が求められるため、社会保障との絡みも課題となってきます。
いずれにせよ配偶者控除の見直しは女性の働き方に大きな影響を与えるものとして、今後も関心を呼びそうです。

人事労務課 社会保険労務士

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