酸素の算定(使用)の基本

長 幸美

医療介護あれこれ

本コラムの内容は、執筆時点での法令等に基づいています。また、本記事に関する個別のお問い合わせは承っておりませんのでご了承ください。

在宅医療や日帰り手術が増える中で、クリニックの現場でよく聞かれる質問の一つが「酸素の算定」です。酸素は医療材料なのか薬剤なのか、酸素の使用量はどうしたらいいのか・・・?
沢山疑問がわいてきます。算定ルールが複雑で、初めてだとなかなか難しいと感じる項目です。

例えば、こんな疑問はありませんか?
 ・酸素を使用した場合、購入した酸素の代金は患者さんに請求できるのかな?
 ・急に具合が悪くなった患者さんに酸素吸入をしたけれど、どうやって算定したらいいのかな?
 ・レセコンに酸素の単価がいくつか入っているけれど、一番高いので算定していいのかな?
 ・そもそも酸素って算定できるのかしら?

初めての場合は、わからないことが多いかもしれません。
ここで酸素の算定について、基本ルールをおさらいしておきましょう!

酸素吸入とは?

酸素吸入は、低酸素状態の患者さんに対して酸素を投与する医療行為です。
急変時や呼吸状態が悪化した場合に行われることが多く、医師の指示のもとで実施されます。

ポイントは・・・
 ・酸素吸入は「処置」に該当すること・・・
 ・酸素ガスは医療材料として扱われること(薬剤ではありません)。

酸素の算定方法

酸素を使用した場合、算定には次の3つの視点があります。
①外来や入院(病棟)での酸素吸入、②在宅での酸素使用、③手術の時の酸素使用、です。

外来・入院(病棟)での酸素吸入の場合

酸素吸入の処置料(手技料)を「酸素吸入(J024)」として算定します。
そして「酸素」の費用は「酸素ガスの加算」として算定をします。

「酸素吸入(J024)」は「1日につき」1回の算定ですので、同日で午前や午後に何回か酸素吸入をした場合は注意が必要です。
また、日を超えた場合・・・つまり10日の10時に開始して11日の2時に終了した場合は、10日、11日にそれぞれ酸素吸入手技料の算定が可能です。

まずは、「酸素ガス」の1日の使用量の総量を計算します。
「酸素ガス」の費用は、使用した1リットル当たりの単価に1日の使用量の総量と補正率を掛け合わせて計算します。
計算式は以下の通りです。補正率1.3を掛け合わせるところに特徴があります。

 酸素の価格(円)=酸素の単価(円/リットル)×使用した酸素の容積(単位リットル)×補正率
            (*1)         (*2)                 (1.3)

酸素の種類

酸素の種類は 4種類あります。
 ・定置式液化酸素貯槽(CE)・・・医療機関敷地内に設置されている
 ・可搬式酸素容器(LGC)・・・酸素要領が13.3万L又は37.6万Lのもの
 ・大型酸素ボンベ・・・3000リットルを超えるもの(通常7000L、6000Lのボンベ)
 ・小型酸素ボンベ・・・3000リットル以下のもの(通常500L、1500Lのボンベ)

酸素の価格(*1)

酸素の価格は、毎年1月~12月に購入した実績をもとに、翌年2月に厚生局に届出(報告)を提出します。この「単価」欄に記載している金額が4月~翌年3月までの酸素の単価になります。
診療報酬点数表には、酸素の単価の上限額が記載されています。計算した単価が上限額を超えている場合は、上限額を記載します。

九州厚生局/酸素の購入価格の届出より:記載例

使用した酸素の使用量の計算~1日ごとに酸素の容積(*2)を計算する

通常、カルテの中には、1分間に流す酸素量(流量)と開始時間、変更時間と変更した流量、終了時間がかかれています。この記録の中から、使用時間を分単位に集計して、流量を掛け合わせ1日に使用した酸素量を算出します。

例えば・・・
 10:20~酸素 5L/分開始
 12:30~酸素 3L/へ変更
 20:00 酸素中止(終了)
と書かれていた場合、
 10:20~12:30 130分×酸素5L=650L
 12:30~20:00 450分×酸素3L=1350L 合計で2000Lとなります。
これを前述した計算式に当てはめると小型ボンベの場合ですと
 単価(2.36円)×酸素容積2000L×補正率1.3=6136.00円となります。
 この時点で小数点以下が出てきた場合(〇〇.00)は小数点以下を四捨五入して整数にします。(※1)
最後に10で割って点数に直します。
 6136.00円÷10円=613.6 ここでも四捨五入して、614点となりますね。(※2)

今回の例では、小数点以下が「〇〇.00」となっていますが、端数が出てしまった場合は、(※1)(※2)の2段階で四捨五入することになります。

補正率とは・・・?

補正率は、医療機関が患者に酸素吸入を行った際の費用(診療報酬)を計算する際に使用されるものです。酸素の単価は通常「1気圧」を基準に設定されています。
例えば、「酸素補正率1.3(1気圧)」は、材料価格に30%を加算する(1.3倍する)ことを意味します。酸素1リットルあたりの単価に使用量を乗じ、さらにこの補正率を掛けて計算されます。

在宅で酸素を必要とする場合~在宅酸素療法

在宅で酸素を継続的に使用する場合は「在宅酸素療法指導管理料」や「酸素の加算」そして在宅酸素療法材料加算」が適用されます。酸素の加算は、「C157 酸素ボンベ加算」「C158 酸素濃縮器加算」「C159 液化酸素装置加算」があります。

 ※詳細は、「はじめての在宅酸素療法(HOT)~令和6年度診療報酬改定のポイントを踏まえて~」で
  説明をしています。見逃した方は (こちら) から、ぜひご覧ください!

手術をしたときの酸素吸入

手術を行う際の麻酔時(閉鎖式全身麻酔)には酸素を使用する場合もありますが、この際は手術手技料や麻酔手技料の中に酸素吸入の手技料は含まれますので、同じ日に別に算定をすることはできません。

酸素吸入が算定できない場合

次のようなケースでは算定(保険請求)できませんので、注意が必要です。

・手術中や麻酔中に行う酸素吸入手技料(手術料に含まれる)・・・使用した酸素の費用は算定可能
・健診や予防目的での酸素吸入
・医師の指示がないまま行った酸素吸入
・人工呼吸や間歇的陽圧吸入療法と一緒に行った酸素吸入
・在宅酸素療法指導管理料(C107)・在宅人工呼吸指導管理料(C107-2)・在宅ハイフローセラピー指導
 管理料を算定している患者への酸素吸入

注意:急変時でも、医師の指示が記録されていない場合は算定できません。カルテ記載が必須です。

まとめ

酸素吸入や在宅酸素療法の算定は、処置料と材料費の考え方、そして施設基準や記録の整備が重要です。特に、急変時の対応や在宅療法の導入時には、医師の指示とカルテ記載が必須であり、誤った請求を防ぐためには基本ルールの理解が欠かせません。

最後に、酸素吸入に関して、押さえておきたいポイントを整理しておきましょう。
 ◆ 酸素は「医療材料(ガス)」として扱う・・・単価は毎年厚生局に報告が必要!
 ◆ 外来・入院では「酸素吸入(処置料)+酸素ガスの費用」で算定・・・補正率を忘れないで!
 ◆ 在宅で酸素吸入等を必要とする場合は別体系で算定する・・・指導管理料や材料加算がある!
 ◆ カルテの記録が大事・・・カルテに指示(必要な状態も)、使用量・時間(開始時間・終了時間、
  変更時間等)を記載しましょう!
 ◆ 算定できない場合がある・・・手術・麻酔日、在宅酸素療法指導料算定患者の外来診療時、等

現場で間違えやすい項目ですが、基本を押さえておけば、正しい算定につながります。

<参考資料>  令和7年11月20日確認

〇厚生労働省/令和6年度診療報酬改定について は(こちら)

〇九州厚生局/酸素の購入価格の届出 ⇒(こちら)
  ⇒酸素の単価は、前年の1月から12月までの購入価格を根拠に、厚生局に届け出を行う必要が
   あります。
   こちらにその内容が記載されていますので、ご確認いただき、漏れがないようにしましょう!

〇医学通信社/診療報酬点数早見表    
  ⇒J024 酸素吸入
   J201 酸素加算
  

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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