外来・入院・在宅をつなぐ診療報酬の実務~外来から入院へ移行する時に算定できるもの

長 幸美

医療介護あれこれ

本コラムの内容は、執筆時点での法令等に基づいています。また、本記事に関する個別のお問い合わせは承っておりませんのでご了承ください。

2025年問題から2040年問題へと社会構造が変化する中で、在宅医療への注目度は高まっています。地域では「〇〇ホームクリニック」「〇〇在宅クリニック」といった訪問診療を前面に打ち出す医療機関が増えています。

一方、従来の外来診療を中心とするクリニックでも、患者の高齢化に伴い「来院できない患者への対応」や「急な入院への連携」が課題となっています。
今回は、外来から入院へ移行する際にクリニックが算定できる診療報酬を整理し、現場で役立つポイントをまとめます。

入院前にクリニックが算定できるもの

外来患者が入院する際、これまで外来で診療していたクリニックでは、情報提供書を記載し、患者さんの情報を病院へ送ります。
この情報提供や連携は診療報酬で評価されています。

診療情報提供料(Ⅰ)+療養情報提供加算

日常的な診療の状況(服薬情報やADL・認知機能や在宅環境はじめ、訪問看護の情報を添付するなど)を添えて、入院の目的等を記載して情報提供を行います。
訪問看護ステーションによる訪問看護師からの情報を添付した場合は、加算による評価がついています。訪問看護ステーションとしても情報提供費が算定できますし、病院側への入院時評価にも貢献出来、入院時の入退院支援加算にも寄与できるものです。

B009  診療情報提供料(Ⅰ)250点入院医療機関へ紹介状を作成し紹介した場合
 注17 療養情報提供加算50点訪問看護ステーションから得た情報を添付した場合

因みに、訪問看護ステーションは情報提供することにより療養費1,500円を算定することができます。
外来から入院、若しくは在宅療養から入院、そして治療後の退院して在宅(地域)で生活することへの支援に対し、加算として評価が行われていることを知っておくことは重要ですね。

病院側で算定されるが、クリニックが関与する加算

クリニックから紹介された患者さんを受け入れた医療機関(病院)では、入院時から退院に向けた支援を評価する加算があります。
クリニックでは直接算定することはできませんが、情報提供を行うことで病院の加算算定に貢献できます。

入退院支援加算

「入退院支援加算」とは、入院早期から退院が困難な要因を持つ患者を抽出し、病院内のスタッフや地域連携部門が連携して、患者が安心して退院し、地域で療養を継続できるように支援することを評価する診療報酬です。
この加算は、入院の質を向上させ、適切な退院調整を促進する目的で設けられました。

A246 1 入退院支援加算1イ 一般病棟入院基本料の場合  700点
ロ 療養病棟入院基本料の場合 1300点
   2 入退院支援加算2イ 一般病棟入院基本料の場合  190点
ロ 療養病棟入院基本料の場合  635点
   3 入退院支援加算31200点小児患者

算定には、施設基準があり、①入退院支援部門の設置、②専門スタッフの配置(研修要件あり)、③連携要件あり、④院内掲示、等があります。
点数の違いは、
 :入院後3日以内に退院困難な患者を抽出し、退院支援計画を早期に作成。
 :入院後7日以内に抽出し、退院支援を実施。
 :新生児特定集中治療室管理料などを算定した患者対象。
 算定に関しては病院側の話ですが、入院前の情報提供や退院後の連携が重要です。
この「入退院支援加算」の詳細についてはまた別の機会にお話しをしたいと思います。

また、「退院が困難な要因」としては、悪性腫瘍・認知症・急性呼吸器感染症・緊急入院・要介護認定未申請・虐待・生活困窮・ヤングケアラー、などが挙げられています。小児の場合であれば、先天性奇形・出生体重1500g未満などが該当してきます。
具体的には、ひとり暮らし(介護する人がいない)、認知症をはじめとする要介護者、常時(定期的)医療処置や介護・見守りが必要な状態、などが考えられます。

このような状況を入院早期(3日~7日以内)に把握し、退院に向けての支援を行うことにより、在宅や地域の中での生活に戻っていくことがスムーズに実現できることになります。かかりつけ医(クリニック)や訪問看護、ケアマネジャー等の日常生活等の入院前の情報というのはとても重要になってくるわけです。

介護支援等連携指導料(400点)

介護支援連携指導料は入院中に2回まで算定できる点数ですが、仕組みとしては入院当初に入院に至るまでの生活について病院側が把握できる点と、退院前にケアマネージャーと連携する際には退院後の生活が安心して過せる体制を作ることに主眼が置かれます。ケアマネジャーとの連携(情報)については、地域での生活に関するケア等の状況や家族の意向等の情報が豊富で、入院前から退院後の生活支援を見据えた連携をすることで評価されるわけです。

まとめ~外来から入院への移行時の留意点~

外来から入院への移行時、クリニックができることは「情報提供」と「退院後を見据えた連携」です。これらは診療報酬で評価されるだけでなく、病院や介護事業所との協働により、地域包括ケアの実現に不可欠な取り組みです。

次回は、退院に際しての連携についてお話をしたいと思います。

<参考資料> 令和7年11月14日確認

◆診療報酬点数早見表【医科:2025年4月現在の診療報酬点数表】(医学通信社)
   ⇒A246 入退院支援加算
    B009 診療情報提供料
    B005-1-2 介護支援連携指導料

◆令和6年度診療報酬改定説明会資料

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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