保険資格が変わるとき、レセプトはどうする?  ~社保⇆国保の切替時の留意点~

長 幸美

医療介護あれこれ

本コラムの内容は、執筆時点での法令等に基づいています。また、本記事に関する個別のお問い合わせは承っておりませんのでご了承ください。

患者の保険資格が月途中で変更された場合、レセプト作成において正確な保険情報の記載が求められます。誤った記載は審査で返戻や査定の対象となるため、医療事務職員は以下の点を確実に確認・対応する必要があります。

ケース①:社保 → 国保へ切り替え(退職など)

退職等の事由により「社保」を喪失し、「国保」へ加入するケースです。
診療月の中で保険が切り替わる場合、社保分と国保分でレセプトを分けて作成する必要があります。

【チェックポイント】

確認事項※レセコン作業上の留意点
社保の資格喪失日を確認
  (通常は退職日の翌日)
旧保険に「資格喪失日」を入力
(国保資格取得日の前日を入力する)
国保の資格取得日を確認
  (原則社保喪失日の翌日)
国保の資格取得日を入力する
初診料は変更後の保険では算定不可継続診療の場合「再診料」を算定する
病名を入れ替える旧保険の病名を終了させ、
新保険にて現在診療している病名を入力する
(病名の開始日は新保険での受診日)
(レセプトコメント入力)摘要欄に「社保→国保へ変更」と記載する

資格喪失日とは?

健康保険やその他の社会保険の被保険者としての資格を失った日のことです。
一般的に、退職した場合は退職日の翌日が資格喪失日となり、健康保険証の有効期間は退職日までとなり、翌日からは使えなくなります。
例えば、9月30日退職した場合、資格喪失日は10月1日になります。

【間違えやすいポイント】

資格喪失日・・・資格を失った日なので、つい「退職日」と思いがちですが、退職日はまだそこに在籍していますね。だから、保険証も使う権利があり、仕事もまだ就業中との扱いになります。
このような考え方で整理するとわかりやすいかもしれません。
但し、例外もありますので、新しい保険資格の有効期限を必ず確認しましょう!

■ケース②:国保 → 社保へ切り替え(就職など)

就職などで社保に加入するケースです。
この場合、新卒採用の場合、4月1日が採用日であればその月の初日になるケースが多いのであまり問題にはなりません。しかし、中途採用の場合は、月の半ばで保険が変わるケースが多くなるため、注意が必要となります。
今回のように、国保⇒社保への切替の場合は、国保分と社保分でレセプトを分けて作成します。
レセコン作業場の留意点をまとめました。皆さん確認してくださいね。

【チェックポイント】

確認事項※レセコン作業上の留意点
社保の資格取得日を確認(通常は入社日)保険証の資格取得年月日を登録する
国保の資格喪失日を確認社保の資格取得年月日の前日で有効期限を切る
※限度額認定等があるため必ず入力すること!
再診料で算定する初診料は変更後の保険では算定不可
(継続診療している為)
病名を入れ替える
旧保険の病名を終了させ、
新保険にて現在診療している病名を入力する
この場合の開始日は新保険での受診日
(レセプトコメント入力)摘要欄に「国保→社保へ変更」と明記

■ 実務でよくある疑問

「保険資格書がまだ届いていない場合は?」

保険資格取得の手続きに2~3週間かかるためその間、具合が悪くなったりケガをしたりしたときに、保険証がない為に自由診療扱いをしている医療機関もあります。
しかしながら、次のいずれかの方法で保険診療の対応が可能です。

 ①一時的に10割負担で請求し、後日保険資格証提示後に精算処理を行う方法
   ⇒一旦は全額支払ってもらいますが、後日保険資格証と領収書を持参していただき、
    7割分を返金して一部負担金の領収書をお渡しする対応ができます。

 ②社保加入直後の場合は「被保険者資格証明書」を発行してもらう方法
   ⇒「被保険者資格証明書」とは、社会保険の資格があるということの証明です。
    証明書の有効期間は、証明日から20日間となります。

「摘要欄の記載はどこまで必要?」

保険変更の事実と日付を明記することで、審査側の理解を助け、返戻を防ぐことができます。
例えば:「○月○日 保険者変更 社保→国保」「〇月〇日まで国保」「〇月〇日から社保」
    「保険者変更」 「他保険あり」  /等の記載で審査側がわかりやすい記載が良いと思います。

後期高齢者の負担割合が変更になった場合の留意点

後期高齢者医療の場合、負担割合の変更が行われるケースがあります。
保険資格確認書の負担割合が変更になった場合等、この「所得区分(限度区分)」が変更になっていないか確認をするようにしましょう! 変更になっている場合は、「特記事項」の記載も変更になります。

<後期高齢者の特記事項の記載例>

所得区分(限度区分) 「特記事項(多数回該当)」コード負担割合
現役並みⅢ26区ア(31多ア)3割
現役並みⅡ 27区イ(32多イ)3割
現役並みⅠ27区イ(32多イ)3割
一般Ⅱ41区カ(43多カ)2割
一般Ⅰ 42区キ(44多キ)1割
低所得Ⅱ
低所得Ⅰ
30区オ1割

返戻を受ける理由にもなりますので、「保険割合」だけを確認するのではなく、「特記事項」も留意して確認するようにしましょう。

最後に

保険資格の変更は、患者さんにとっても医療機関にとっても重要な手続きです。
医療事務職員が正確に対応することで、スムーズな請求と患者対応が可能になります。

「保険が変わったら、レセプトも変える」

この基本を忘れず、日々の業務に活かしていきましょう。

<参考資料>  令和7年9月24日確認

■一般社団法人社会保険支払基金/請求支払に関するQ&A_Q1、Q2

  ⇒社会保険支払基金のホームページ内には、レセプト請求に関するルール等も、
   解説されていますので、ご確認ください。
   ※社会保険支払基金のホームページは (こちら)

  ⇒国保及び高齢者医療の場合は国保連合会のホームページで確認ができます。
   ※福岡県国民健康保険団体連合会のホームページは (こちら)

   ※後期高齢者医療における窓口負担金の変更については(こちら)

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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