ICT活用のヒント~変化に対応するには・・・~

長 幸美

医療介護あれこれ

本コラムの内容は、執筆時点での法令等に基づいています。また、本記事に関する個別のお問い合わせは承っておりませんのでご了承ください。

最近、電子カルテの導入やマイナ保険証、オンライン資格確認の活用など、医療の世界でも「ICT(情報通信技術)」を活用する動きが加速していますよね。

でも、スタッフの皆さんの中には、
  「うちは患者さんが高齢だから、ICTって難しそう・・・」
  「機械を入れるって、お金もかかるし大変そう」
  「そんなこと言われても、私たちパソコンは苦手だし・・・」
そんな不安やモヤモヤを感じている方も多いかもしれません。

今回のテーマは、「ICTって実は身近なことから始められるんですよ」というお話です。

ICTは「機械を入れること」ではない

ICTと聞くと、最新の機器や難しいシステムを取り入れることとイメージしてしまいがちですが、
本当に大切なのは、ICTを活用することで「どんなふうに患者さんと向き合う時間がつくれるか」「スタッフがもっと気持ちよく働けるか」という「変化への対応力」がとても大事なんです。

ICT導入の結果の例として
 ・電話予約の代わりにLINE予約が増えたことで、電話対応に追われる時間が減った
 ・来院前にオンライン問診ができるようになって、受付や看護師の忙しさが軽減された
 ・カルテや検査データの共有がスムーズになり、診察室と看護師の間のやりとりがラクになった
このような結果が出ることでICT活用の効果を感じておられるクリニックもあります。 ICTは「便利な機械」ではなく、「余裕を生み出す手段」になり得るということなんですね。
であるならば、皆さんのクリニックでも、導入したほうが楽になることもあるかもしれません。

高齢の患者さんでも使えるICTはたくさんある!

「高齢の患者さんが多いから、デジタルなんて無理だよね」
「スマホ持っていない患者さんも多いから~~」
そんな心配の声もよく聞きます。でも、ICTの導入=高齢者に不便とは限りません。

現在の行為をICTに変えると・・・
 ・予約時間を紙に印刷してお渡ししている ⇒ 診察日忘れ防止に役立つ!
 ・問診表を書くのが大変 ⇒タブレットだと「はい」「いいえ」のタッチで思ったほど難しくなかった 

使うのが難しい人」にこそ、ICTのサポートが「安心」につながることも多いんです。

ICTの第一歩は「現場の声」から

「うちでもICT取り入れてみたいけど、何から始めたらいいのかしら?」

そんな疑問には、まずスタッフみんなで、「ちょっと不便に感じていること」「時間がかかっていること」「毎日繰り返している作業」を出し合ってみてください。

たとえば・・・
 ・「患者さんを呼ぶたびにスタッフを探しに行ってる」⇒ インカムでの連絡で解決
 ・「電話が鳴りっぱなしで業務が進まない」 ⇒ オンライン予約導入で軽減
 ・「問診のメモが伝わりづらい」      ⇒ 電子問診で情報がしっかり共有される
 ・「毎日・毎月集計している患者統計」   ⇒電子カルテやレセコンから出力集計をRPA化

「こんなふうにできたらいいな」が、ICT導入のヒントになるんです。

ICTは「人の温かさを守るため」のツールになる?!

「デジタルにすると、冷たくなるんじゃない?」「人間らしさがなくなるのでは・・・?」
そんな心配もありますよね。

でも、実際には、毎日の単調な作業等にICT導入をしたことで、ゆとりが生まれ、結果として患者さんに向き合う時間が増えた・・・という声も聴きます。

ICT活用の結果・・・
 ・紙の記入に時間を取られていた受付が、笑顔で患者さんに挨拶できるようになった
 ・マイナ保険証の活用で、患者登録がすぐに終わったうえに、入力間違いもなくなった
 ・バタバタしていた看護師が、少し落ち着いて患者さんに声かけできるようになった
 ・スタッフ同士の連携ミスが減り、余計なストレスがなくなった

ICTは使い方によっては、皆さんの強い味方、「温かい時間をつくるための道具」なんだと実感できる事象ですよね。

まとめ:変化に強いクリニックで、しなやかに!

これからの医療現場は、制度も働き方もどんどん変わっていきます。
だからこそ、「どう変化に向き合うか」「どんなふうに工夫できるか」がとても大事になってきます。

ICTを活用するということは、
  「もっと患者さんのために」
  「もっと働きやすい環境のために」
という、皆さんの優しさや前向きな気持ちのあらわれとして感じていただけるツールでないかとおもいます。クリニックをより良くしていく主役は、現場で働く皆さんです。ICT導入の先駆けになりませんか!

< ちょこっとワーク:院内の皆さんと話し合ってみませんか? >

このコラムを読んでぜひクリニック内で、ぜひ話し合ってみてください。
ICTへの取り組みや業務改善のチャンスですよ!

 ◆最近「ここがちょっと大変だな…」と感じていることはありますか?

 ◆それって、ICTで工夫したら変えられそうですか?

 ◆患者さんにとって、もっと安心につながる工夫って何かあるでしょうか?

こんな疑問や意見が挙がれば是非チャレンジしてください。きっと新しい景色が見えますよ!

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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