
省エネ性能が義務化!?~修繕費の財源準備は必要か?~
渭川 あかり
リスクマネジメント本コラムの内容は、執筆時点での法令等に基づいています。また、本記事に関する個別のお問い合わせは承っておりませんのでご了承ください。
「修繕費」とは、会社が経営に必要とする“モノ”などを修理・改修するために支払った費用を差し、その最も大きい“モノ”は建物です。
建物の規模、劣化状況、工事内容によって異なりますが、20年後、30年後に2000万円もの大金がポンと消えてしまうと考えてみると、いかがでしょうか?
恐ろしいですよね。
「できるだけ安く抑えたい!」と思っても、今後の建築では、基準の強化で想像以上に高額な修繕費がかかる可能性があります。
【省エネ性能が義務化の時代に!?】
2050年までに、既存の物件も含めて、「ZEH・ZEB水準※1」確保を目指す方針を政府が打ち出していることはご存じでしょうか?

カーボンニュートラル※2に向けた取り組みの一環で、日本は省エネ性能の確保を目指しており、2025年4月からはすべての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務化されました。
2030年からはさらに厳しく「ZEH・ZEB水準」に引き上げられ、最終的には既存物件を含めて同水準を目指します。
義務化すなわち「基準を満たしていないと建てられない」ということです。
現在では、増改築を行う場合のみ省エネ基準を満たす必要があり、大規模修繕は対象外ですが、既存の建物も「ZEH・ZEB水準」を目指している以上、どうなるかわかりません。 動向については随時チェックしていきましょう。
大規模修繕の財源は、修繕費積立や融資といった方法が考えられます。 余裕があれば、「これからの修繕費にはお金がかかるぞ!」とリスクを想定し、従来より手厚い財源準備を進めてみてはいかがでしょうか。
※1 ZEHとは「Net Zero Energy House」の略称で、断熱・省エネに加えて太陽光発電などの導入でエネルギーを作り出し、年間の消費エネルギーをゼロ以下にした住宅のこと。ZEBとは「Net Zero Energy Bill」の略称で、そういったビルのことを指す。
※2 二酸化炭素やメタンガスなどの温暖化ガス排出量を、森林吸収や排出量取引などで吸収される量を差し引き、「全体としてゼロにしよう」ということ。
【参考資料】
国土交通省『新しい「建築物の省エネ性能表示制度」が始まります!』
(確認日:令和7年5月14日)https://www.mlit.go.jp/shoene-label/
著者紹介
- 経営プランニング部 ライフプラン・リスクマネジメント課
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