【医療介護あれこれ】個別事項(その3について)~がん①~

長 幸美

アドバイザリー

令和2年4月の診療報酬改定に向けて、中医協の審議が進んでいます。
「骨太方針2019」にもありました通り、「予防」「重度化予防」についても審議が進んできています。今回はその中で、「がん対策」「透析」「臓器移植」についてみていきましょう。
診療所や中小病院の先生方はあまり関係がないと思われがちですが、地域医療構想・地域包括ケアの中では、これら専門的な医療機関とどう繋がっていくのか、ということがとても重要になってきます。

【がん対策】
がん診療の拠点として、前回改定において、がんセンターの他、「地域がん診療連携拠点病院」について新たに創設されました。一つの医療圏に1か所拠点を置き、がん治療について支援をしていくというものです。

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(出典:中医協資料「個別事項(その3)」より)

これは「がんゲノム医療提供体制」についても、人材育成、治験先進医療を連携により重点的に支援していこうというものです。全国で34か所あり、そのうち九州では、福岡に2か所(久留米大学病院、九州がんセンター)、長崎県(長崎大学病院)、鹿児島県(鹿児島大学病院)の4か所です。 先進的なものは大規模な病院が主になります。

ここで注目したいのは、「緩和ケア」についてです。
「緩和ケア」とは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処を行うことによって、 苦しみを予防し、和らげることで、QOLを改善するアプローチです。
前回の改定でも、緩和ケアチームが早期にかかわることについて、評価がつきました。
「がん」という命にかかわるかもしれない疾病にかかったときに、専門的な緩和ケアチームが早期にかかわることで、苦痛の緩和や生命予後が改善することが報告されています。

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(出典:中医協資料「個別事項(その3)」より)

緩和ケア病棟も、在宅における緩和ケアについてもサポートができるように、前回改定で見直しが行われ、早期に緩和ケアチームがかかわることについても評価がついています。がん治療については、手術をすれば終わりというわけにはいきません。その後、再発の恐怖とともに、長く働きながら治療し、「がん」とともに生きていくことになります。その方の「生き方」にも関わってきます。このため、早い段階で、心理的に支える、働き方を支えていくこともとても重要になります。これは、医療機関のみが抱える問題ではなく、働きながら治療をする方は、職場との関係も考える必要があります。
社会全体で支えていくことが必要になってくるのです。
ここでも、「連携」がとても重要になってきます。
地域医療構想や地域包括ケアの中では、「一つの医療機関の中で完結すること」は求められていません。この図のように、ネットワークを作って地域を支えていくことが必要になってきます。

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(出典:中医協資料「個別事項(その3)」より)

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