イラっとした時どうしていますか?~番外編:ありがとう活動で職場を変える~

長 幸美

医療介護あれこれ

本コラムの内容は、執筆時点での法令等に基づいています。また、本記事に関する個別のお問い合わせは承っておりませんのでご了承ください。

これまで3回にわたり、アンガーマネジメントの考え方を「患者編」「職員同士編」「チームマネジメント編」とご紹介してきました。
今回は番外編として、日常の中でアンガーマネジメントを実践できる取り組み――「ありがとう活動」をご紹介します。

「ありがとう」を見える化する

感謝の気持ちは心の中にあるだけでは相手に伝わりません。
そこで役立つのが「ありがとうを見える化」する仕組みです。

ありがとうカード

小さなカードに「ありがとう」や「嬉しかったこと」を書き、相手に渡したり掲示板に貼ったりします。

ありがとうの木

大きな幹を模した紙を掲示し、ハートや花びら型の付箋に「ありがとう」を書いて貼ります。
ある医療機関では「ありがとうの花を咲かせよう!」を合言葉に実施し、1か月で60枚以上の付箋が集まりました。スタッフ同士が自然に感謝を伝え合える、温かい雰囲気が生まれたそうです。

続けるための工夫

取り組みは「最初は盛り上がるけれど、いつの間にかやめてしまう」ことがよくあります。
継続のポイントは、仕組み化とちょっとした楽しさです。

定例化する

 月1回の振り返りミーティングでカードや付箋を読み上げる。
 「今月のナンバーワン」や「印象に残った出来事」を朝礼で発表するのも良い工夫です。

小さな表彰をする

 「今月のありがとう大賞」「心が温まったありがとう」などを紹介する。
 ある医療機関では院内報や外来掲示板で「今月の笑顔が素敵だったで賞」として職員紹介をしていました。

楽しさを取り入れる

 季節ごとにテーマを変える(春=花びら、夏=星、秋=落ち葉、冬=雪だるまなど)。
 「笑顔が素敵キャンペーン」「挨拶キャンペーン」として投票制度を取り入れるのもおすすめです。

リーダーが率先する

 院長や主任クラスが積極的にカードを書いたり、発表したりする。

こうした仕掛けで「ありがとう活動」は自然に根づいていきます。

アンガーマネジメントとのつながり

「ありがとう」を増やすことは、イライラを減らすことにつながります。
感謝を伝え合うことで「お互い様」「助け合い」という雰囲気が生まれ、職場全体の感情マネジメントが自然に進むのです。

アンガーマネジメントは「いかに怒りを抑えるか」に主眼を置くのではありません。
怒りが起きた時に大きなもめ事にならないようにするため、前向きな感情を増やす仕組みを持つことが、チームで実践する近道です。

まとめ

アンガーマネジメントは「怒りを押さえ込む技術」ではなく、「怒りに翻弄されないようにする技術」です。「ありがとう」を増やす工夫を取り入れることで、イラっとを防ぎ、前向きなチームづくりにつながります。

番外編でご紹介した「ありがとう活動」、あなたの職場でも試してみませんか?
1枚のカード、1枚の付箋からでも、職場の空気はきっと変わっていきます。

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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