2019 年度予算と社会保障について

楢橋 信一

税務・会計

財務相の諮問機関である財政制度等審議会は11 月20 日、「2019 年度予算の編成等に関する建議」をとりまとめました。総論としては、現下の財政が特例公債に大きく依存していることを踏まえ、「厳しい財政状況を後世に押し付けてしまう格好となっている」と厳しい認識を示しております。今後、一段と財政を悪化させないようにするためには、今後3 年間(基盤強化期間)の歳出規律を遵守するとともに、財政健全化への国民の理解を得るべく、エビデンスに基づく政策立案を推進すべきであるとしております。また、財政規模の大きい社会保障分野では、社会保障関係費の伸びを「高齢化による増加分に相当する水準におさめる」という方針の下、引き続き財政健全化の手を緩めることなく改革に取り組む必要性を強調しております。その上で、持続可能性を確保するために必要な、医療・介護制度改革の視点を次のように示しております。
1. 制度の持続可能性を踏まえた保険給付範囲としていく
(薬剤自己負担の引き上げ、軽度者向け介護サービスの給付の見直しなど)
2. 必要な保険給付をできるだけ効率的に提供する
(医療費・介護費の地域間格差解消、診療報酬・薬価・公定価格の適正化・包括化など)
3. 高齢化や支え手減少の中で公平な負担としていく
(後期高齢者医療や介護における負担の在り方の見直しなど)
これまでの議論に新たに付加された内容はないと思われますが、2025 年度のプライマリーバランス黒字化に向けて、今後の予算措置にどれだけ反映されてくるのか、大きな関心をもって見ていきたいと思います。

税務会計3課シニアコンサルタント

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