コラム de スタディ

2018.05.28.
【平成30年度診療報酬・介護報酬改定】看護記録に関するガイドライン

医療機能の機能分化が進む中、看護職が活躍する場面が多様化してきています。保険医療福祉サービスは、多様化しており、看護記録は多職種と情報共有する際の重要なツールの一つになって、看護記録の有用性は高まりつつあります。

 

今回、日本看護協会から新たな看護記録に関する指針として、「看護記録に関する指針」が策定され、公表されました。今回はこの指針の中身を見ていきたいと思います。

 

改定の主な内容は、

  1. 指針対象及び目的の見直し
  2. 「看護者の倫理綱領」「看護業務基準」との関係の明示
  3. 看護記録の定義及び目的の明示
  4. 保健医療福祉サービスが専門職・非専門職の共同のもとで提供されることを考慮
  5. 看護記録の責任の明確化

 

以上の5点について、変更になりました。

 

一番大きなところでは、医療・看護を取り巻く環境の変化を受けて、「あらゆる場で実践するすべての看護職に対して、看護記録のあり方及び看護記録の取り扱いについてルール化」されたところだと思います。看護職の活躍の場が広がるとともに、記録のあり方の幅も広げてきたというところでしょうか・・・

 

新たな指針の中では「看護者の倫理綱領」「看護業務基準」を上位概念とし、これらに基づいて看護記録のあり方及び取り扱いの具体的方法をわかりやすく、且つ使用する用語も内容に沿って統一されています。これらの内容をよく読み、業務の中に落とし込んでいく必要があります。

また、看護記録を「看護実践の一連の過程を記録したもの」と定義されたとともに看護実践を証明する」ものであり、「看護実践の継続性と一貫性を担保するもの」「看護実践の評価及び質の向上を図るためのもの」であると目的を明確に示されました。

 

さらに、地域包括ケアシステムの中では、保険医療福祉サービスにかかるものは「専門職」だけではなく「非専門職」に情報提供・共有するうえで非常に重要なツールの一つになっていることも考慮して、内容を共有できるように記録することが具体的に記載されています。

 

具体的に中身を見ていきましょう

 

 看護記録とは・・・

①   看護実践を証明するもの、

⇒一連の看護実践の過程を記録することにより、専門的な判断をもとに行われたということが証明できるものになります。

②   看護実践の継続性と一貫性を担保するもの、

⇒看護記録を通じて看護実践の内容を共有することにより、継続性と一貫性のある看護実践を提供します。

③   看護実践の評価及び質の向上を図る

⇒看護記録に書かれた看護実践は、看護研究等の蓄積・分析により、質の高い看護実践の提供につながると考えられています。

 

では、法令ではどのように考えられているのでしょうか?

 

医療法及び医療法施行規則において、看護記録は病院の施設基準等の一つである診療に関する諸記録として規定されています。

また、保健師助産師看護師法(保助看法)において、助産師に助産録の記録が義務付けられています。

さらに、基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取り扱いにおいても、病院診療所の基本料に関する施設基準として、看護に関する記録が規程されています。

介護保険ではどうでしょうか?

介護保険でも同様に、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準、及び指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準において、訪問看護計画書及び訪問看護報告書についての作成が規定されています。

診療情報の提供等に関する指針においても、看護記録は診療記録の一つに位置付けられています。診療記録の一部として取り扱われるということは診療録の三原則「真正性」「見読性」「保存性」さらに電子カルテについては「機密性」「完全性」「見読性」「見作成」の4原則に変えていくべきではないかと検討されていることも付け加えておきたいと思います。

 

真正性=書いた人・修正した人が誰なのか、責任がはっきりしていること

見読性=ちゃんと読める、必要なときにはすぐ紙にプリントアウトできること

保存性=仮にトラブってもデータが消えないよう、バックアップを取ること

 

どのような記録が必要とされているのか、見ていきましょう。

 

【看護記録の基本】

1.    看護実践の一連の過程を記録する

  ⇒看護職が観察と査定、支援内容の明確化、計画立案・実行・評価を行うことをいいます。

⇒看護師と准看護師の法的規程及び教育時間・内容や教育の基本的考え方が違う准看護師は、看護師が立案した計画に基づき看護師の指示のもと支援を行うと規定看護職は各自の免許に応じて要求水準に沿った看護実践の記録が必要です。

2.    適時に記録する・・・時間は正確に!

  ⇒看護実践の一連の過程を時間とともに記載します。遅滞なく記録することを基本とします。

  ⇒予期せぬ事態や医療事故と思われる事態が発生した場合は記録が重要となります。

3.    保健医療福祉サービスの提供にかかる専門職・非専門職や看護を必要とする人と内容を共有できるよう記録する

⇒記録する際は実践の場や職種が異なるものでも理解できるような用語・表現を選んで記録することが必要です。

 

【看護記録記載時の注意点】

確性の確保・・事実を正確に記載します。記載した日時と記載した個人の名前を残します。

⇒訂正をする場合は、訂正したもの、内容、日時がわかるように行います。

  ⇒追記する場合は、いつの、どの箇所への追記であるのかが分かるようにします。

記録の改ざんをすることはできません。改ざんとは、記録の全部又は一部を、意図的に書き換えることをさします。法的に刑事責任が問われ処罰の対象となりますので、注意が必要です。

また、近年フリクションボールペンが流行っていますが、これはこすったり、熱を加えたりすることにより、記録が消えてしまう特性があります。

これは公的な記録としては認められません。

責任の明確化・・・看護を行ったもの本人が記録する必要があります。

 

看護記録記載の代行・・・これは看護補助者や事務職員が看護記録の一部を代わりに記載することを言います。このような場合でも、記録の主体は看護職にあります。このため、代行させた看護職員は記載内容を承認したことを示すために、署名する必要があります。

 

看護期ロックに使用する用語や略語・・・統一する

⇒標準規格やガイドライン等の用語を参考にし、用語が示す概念や略語の正しい言葉や略語を使用するようにしましょう。

 

【記録の監査】

看護の質の向上を目的に、記録の記載基準に則って看護の実践の過程が記録されているか、質・量ともに十分であるかを監査することが必要です。評価基準を決めておかれるといいと思います。

 

【看護記録の様式】

記録に関しては、それぞれの施設で設定されたものを利用します。

 

基礎情報

(データベース)

 看護を必要とする人の病歴や現在の治療、使用薬剤、アレルギー、さらに、身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな側面の情報等を記載したものである。

看護計画

看護を必要とする人の健康問題と期待する成果、期待する成果を得るための個別的な看護実践の計画を記載したものである。

経過記録

 看護を必要とする人の意向や訴え、健康問題、治療・処置、看護実践等の経過を記載したものである。

要約

(サマリー)

看護を必要とする人の健康問題の経過、情報を要約したものである。

クリニカルパスを活用した記録もあります。

クリニカルパスとは一定期間内に改善の目標を設定し、検査・治療・看護等を時系列に整理したもので、院内だけではなく、地域の生活に向けてのパスも作られるようになってきました。

 

記載基準は、使用する記録の様式や署名・訂正方法・記録方法・用語や略語一覧も含む記載のためのルールブックです。

このように基準を定めることで、看護記録の効率化を図ることが出来ます。

 

看護記録の取り扱いとしては、事実の証明としての看護記録があります。これは法的な証拠としても成り得るものであり、診療報酬の算定根拠として事実を記載することも必要です。

 

診療の記録は、究極の個人情報とも言われます。看護記録も同じです。このため、守秘義務の順守が定められています。個人情報の保護の取り扱いは慎重に行われるように配慮が必要です。

医療介護福祉の現場における個人情報の取り扱いは、医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス及び所属施設の規定に則り、適正に取り扱うとされています。また、看護職は個人的興味・関心等の理由による看護記録の閲覧、情報収集を行ってはならないということも書かれています。

 

看護記録の保存期間は、法令により規定されています。看護記録は、その性質から、様々な機微事項が含まれています。それとともに、診療情報の提供等に関する指針の中にも診療記録の一つに位置付けられています。

 

この「看護記録に関する指針」の最後には参考になったガイダンス等の資料が書かれています。必要に応じて参考にされてください。

 

 

 

<参考資料>

〇看護記録に関する指針

http://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/guideline/nursing_record.pdf

 

〇看護者の倫理綱領

https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/rinri/code_of_ethics.pdf

 

〇看護業務基準_2016年改定版

https://www.nurse.or.jp/nursing/practice/kijyun/pdf/kijyun2016.pdf

 

〇医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス

(平成29年4月14日個人情報保護委員会厚生労働省)

http://www.yurokyo.or.jp/news/pdf/20180214_01_03.pdf

 

〇診療情報の提供等に関する指針の策定について

((平成15年9月12日)(医政発第0912001 号

http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/640042.pdf

 

〇医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版(平成29年5月厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000166260.pdf

 

 

経営支援課

一覧ページへ

代表の部屋

  • 代表のイメージ
  • 代表の佐々木直隆がこれまでの豊富な経験から得たことを発信します!
  • 詳細を見る

会員限定コンテンツ

  • 会員募集中!経営に役立つセミナー情報や業界ニュースをお届けします!
  • はじめての方へ
  • ログイン
  • おかげ様で40周年 特別座談会「これからの経営に大切なこと」-これからの地域社会との関わり-
  • 佐々木総研グループFacebookページ
  • 医療・介護・福祉分野の税務会計なら西日本税理士法人
  • 医療・介護・福祉分野の人事労務管理なら西日本社会保険労務士法人