コンタクトレンズ検査料を算定していると、初診料が算定できない?!~包括内容を確認しましょう~

長 幸美

医療介護あれこれ

本コラムの内容は、執筆時点での法令等に基づいています。また、本記事に関する個別のお問い合わせは承っておりませんのでご了承ください。

眼科特有の診療報酬で「コンタクトレンズ検査料」があります。
コンタクトレンズは、高度医療機器にも認定されており、実は誤った装用や合っていないものを使用することにより重大な障害(健康被害)を引き起こすこともあるため、適切に調整していく必要がありますの。この調整を行う為には慎重に検査を実施する必要があります。

「コンタクトレンズ検査料」は施設基準の届出が必要となりますが、同時に算定できないものもありますので、整理しておくことが大切です。診療報酬の審査でも、少し査定が増えているようにも思いますので、改めてここで見ておきましょう!

D282-3コンタクトレンズ検査料とは・・・

コンタクトレンズ検査料とは、コンタクトレンズの装用を目的に受診した患者に対して、眼科学的検査を行った場合に算定するものです。
このコンタクトレンズ装用を目的に受診した患者は、既装用者の場合を含むものと規定されています。

まずはコンタクトレンズ検査料の点数と施設基準を見ておきましょう!

<通則>

コンタクトレンズ検査料の通則として、以下の3点があります。
これらの通則は、この「D282-3 コンタクトレンズ検査料」のすべての項目にかかるものですので、まずは確認しておく必要があります。

イ)当該検査を含む診療にかかる費用について、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること
ロ)イの掲示事項について、原則としてWebサイトに掲載していること
ハ)当該検査を受けているすべての患者に対して、当該検査を含む診療にかかる費用について説明
  なされていること

令和6年の診療報酬改定で、上記通則の「ロ)Webサイトへの掲載」が新たに求められています。
クリニックホームページがある場合は、ホームページに掲載が必要ですし、クリニックのホームページがない場合は、各都道府県の「医療情報ネット」の中に記載があることで足りるとされています。

<施設基準>

コンタクトレンズ検査料1の算定を行える施設基準として、以下の「イ」と「ロ」があります。

イ)次のいずれかに該当すること
 ①当該保険医療機関を受診した患者のうち、コンタクトレンズに係る検査を実施した患者の割合が
  3割未満であること。
 ②当該保険医療機関を受診した患者のうち、コンタクトレンズに係る検査を実施した患者の割合が
  4割未満であり、かつ、当該保険医療機関内に眼科診療を専ら担当する常勤の医師が配置されて
  いること。
ロ)次のいずれかに該当すること。
 ①入院施設を有すること。
 ②当該保険医療機関を受診した患者のうち、コンタクトレンズ検査料を算定した患者数が
  年間1万人未満であること。
 ③コンタクトレンズに係る検査を実施した患者のうち、自施設においてコンタクトレンズを交付した
  割合が九割五分未満であること。

点数(R6年度改定版)施設基準
コンタクトレンズ検査料1200点「イ」「ロ」ともに該当する
コンタクトレンズ検査料2180点「イ」をに該当するが、
「ロ」に該当しない
コンタクトレンズ検査料356点「イ」該当しないが、
「ロ」に該当する
コンタクトレンズ検査料450点

複数の診療科を有する場合は、初診料・再診料を算定しない場合も、人数のカウントは行うことになりますので、注意が必要です。レセコンのダミーコードを活用して、診療行為別統計表の受診者カウント(初診・再診の数)がでるようにすると、レセコンから集計が出せるようになります。

疑義解釈通知(Q&A)より

ここで、間違いやすい項目を疑義解釈通知から見ておきましょう!
原則論から言うと、コンタクトレンズ検査料には、「眼科学的検査を実施してコンタクトレンズの装用管理を行う」ということが本来の目的にあることを念頭に置きながらご確認いただければよいかと思います。

コンタクトレンズ検査料を算定した患者が、「医師法」及び「療養担当規則」上の診療録保管期限(5年)を超え来院した場合、初診料は算定できますか?

当該保険医療機関において過去の受診が確認できない場合は初診料の算定はできます。(H26.10.10)

コンタクトレンズを処方し眼科学的管理を行っている患者に屈折異常以外の他の疾病が新たに発生した場合、初診料を算定してよいか?

屈折異常に対する継続的な診療中であると考えられることから、再診料を算定することとされています。

コンタクトレンズの処方を自由診療として取り扱ってよいか?

原則認められないとされています。

屈折異常以外の疾患があった場合も、保険医療機関におけるコンタクトレンズ装用者に対する診療には保険診療が適用されることから、保険外診療(自由診療)とすることは原則認められません。

コンタクトレンズ検査料を算定した場合、包括される眼科学的検査で使用した薬剤やフィルムについては、算定できるか?

算定できる(H18.4.26_一部修正)

コンタクトレンズ検査に含まれる検査とは何か?

眼科学的検査がすべて含まれる。新たな眼科弛緩がありコンタクトの装用を中止し、コンタクトレンズの処方を行わない場合は、別に眼科学的検査の費用を算定する(H18.4.16_全国保険医団体連合会))

通知の(5)に
「コンタクトレンズの装用を目的に受診した患者に対して眼科学的検査を行った場合は、コンタクトレンズ検査料「1」「2」「3」又は「4」の所定点数を算定し、別に「D255精密眼底検査(片側)」から「D282-2行動観察による視力検査」までに掲げる眼科学的検査は別に算定できない」
とあります。

ただし、次の患者にあっては当該点数を算定せず、眼科学的検査(D255~D282-2)により算定する。
なお、この場合においても、初診料は算定せず、再診料(外来診療料)を算定する。このような通知とされていますので、ご留意いただけたらと思います。

通知(5)のただし書きの患者は以下の通りとなっています。点数表等で再度確認されてください。
①新たな疾患の発生(屈折異常以外の疾患の急性増悪を含む)によりコンタクトレンズの装用を
 中止し、コンタクトレンズの処方を行わない場合、
②円錐角膜、角膜変形若しくは高度不正乱視の治療を目的としてハードコンタクトレンズの処方を
 行なった場合、
③9歳未満の小児に対して弱視、斜視若しくは不同視の治療を目的としてコンタクトレンズの処方を
 行った場合、
④緑内障又は高眼圧証の患者
 (治療計画を作成し診療録に記載するとともにアブラネーショントノメーターによる精密眼圧測定
  及び精密眼底検査を実施し視神経乳頭の所見を詳細に診療録に記載した場合に限る)、
⑤網膜硝子体疾患若しくは視神経疾患の患者
 (治療計画を作成し診療録に記載するとともに散瞳剤を使用し、汎網膜硝子体検査又は精密眼底
  検査、細隙灯顕微鏡検査(前眼部及び後眼部)並びに眼底カメラ撮影を実施し網膜硝子体又は
  視神経乳頭の所見を図示して詳細に診療録に記載した場合に限る)、
⑥度数のない治療用コンタクトレンズを装用する患者、
⑦眼内の手術(角膜移植を含む)前後の患者、
⑧スティーブンス・ジョンソン症候群又は中毒性表皮壊死症の眼後遺症に対する治療用コンタクト
 レンズを装用する患者等

まとめ・・・

そもそも、コンタクトレンズは冒頭に申し上げた通り、高度医療機器に定められています。
一般的に、コンタクトレンズの購入には眼科医の処方箋が必要です。そのため、コンタクトレンズ販売店は、眼科医と連携して検査を行い、処方箋を発行してもらうことがあります。この連携自体は、コンタクトレンズの安全な使用を確保するために必要なものです。
しかし、一部では、この連携が過剰な検査や不要な受診を招き、消費者の費用負担を増やしているという指摘もあります。

コンタクトレンズの誤った使用に関しては、視力の低下だけではなく、感染等の重篤な状況に陥ることも考えられ、適切な検査を通して、トラブルの早期発見が必要になります。
保険請求についても、ルールをしっかりと確認し、正しい請求につなげていきましょう!

<参考資料> 令和7年7月25日確認

■厚生労働省/令和6年度診療報酬改定について

■医学通信社/診療点数早見表【医科】2025年4月現在の診療報酬点数表
   ⇒検査/生体検査料/眼科学的検査_D282-3コンタクトレンズ検査料

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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