医療法人制度の見直しについて

楢橋 信一

アドバイザリー

厚生労働省は2月9日、「地域医療連携推進法人制度(仮称)の創設及び医療法人制度の見直しについて(以下、「とりまとめ」)」を公表しました。これは、同省に設置された「医療法人の事業展開に関する検討会」において繰り広げられた議論の取りまとめで、非営利新型法人の創設や医療法人制度の見直しの法制化についてまとめられたものであります。今回は、「とりまとめ」の中から医療法人制度の見直しについて見てみたいと思います。大要は次のようになっております。

1.医療法人の経営の透明性の確保及びガバナンスの強化について
①医療法人の経営の透明性の確保
・会計基準の適用・外部監査の義務付け
・計算書類の公告の義務付け
・いわゆるメディカルサービス法人との関係の報告
②医療法人のガバナンスの強化
・理事長及び理事の忠実義務、任務懈怠時の損害賠償責任等
2.医療法人の分割について
3.社会医療法人の認定要件の見直し等について

このうち、上記1.①は、一定規模以上の医療法人に、医療法人会計基準の適用と公認会計士等による外部監査を義務付けるとともに、決算書の官報又はインターネット上での公開を義務付けることで、経営の透明性確保を求める内容となっております。また、医療法人とメディカルサービス法人との関係を都道府県知事に報告することも求めております。 ②は、理事会の設置・権限や役員の選任方法等を明確化するとともに、理事長及び理事の忠実義務、任務懈怠時の損害賠償責任等を明確化することとなっております。

次に、2.では、現行制度上ではできない医療法人の分割を、都道府県知事の認可を受けた上で可能とすることが明記されております。なお、分割対象としては、持分なし医療法人(ただし、社会医療法人・特定医療法人は除く)についてのみ認めるということになっております。

この「とりまとめ」は、社会保障審議会医療部会を経て、現在開会中の通常国会に法案提出の運びとなっております。詳しい内容については、議論の経過とともに、厚生労働省ホームページ内の「医療法人の事業展開に関する検討会」で開示されております。
医療法人様におかれては、密接にかかわる事柄ですので、今後の国会審議の動向に注目したいと思います。

税務会計コンサルティング部 次長

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