「新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置」に関する給与計算担当者の準備

佐々木 大

税務・会計

「新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置」(内閣官房WEBサイトの表現)。このタイトルだけではイマイチピンときませんが、「岸田首相が減税すると発言した」というニュースは、昨年(令和5年の秋ごろ)から、皆様なにかしらの媒体でご存じのことと思います。

本記事では、「企業の給与計算担当者」が実際にどんな準備をしなければならないか?というポイントについてまとめたいと思います。

新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置の概要

「新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置」は、「様々な層の国民に丁寧に対応しながら、物価高に対応し、可処分所得を増やす」ことを目的として、所得税や住民税の減税、または給付金の支給を一体として実施する経済政策です。「デフレ完全脱却のための総合経済対策」のひとつと位置付けられています。
これを図で示したのが「内閣府:新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置」スライドの資料になります。

内閣府:「新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置」より

これを対象者別に、もう少し具体的にまとめると下記表のような3本柱となります。

表:新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置の概要

住民税非課税世帯の方世帯主に1世帯あたり7万円と18歳以下の児童1人あたり5万円が給付されます。
住民税均等割のみ課税される世帯の方世帯主に1世帯あたり10万円と18歳以下の児童1人あたり5万円が給付されます。
住民税・所得税を納付している方納税者及びその配偶者を含めた扶養親族1人につき、令和6年分の所得税から3万円、令和6年度分の個人住民税所得割から1万円が減税されます。減税前の税額が少なく、定額減税しきれないと見込まれる方には、定額減税しきれないと見込まれるおおむねの額が1万円単位で給付されます。

このうち、企業の給与計算担当者は「③住民税・所得税を納付している方」については、給与計算上、特殊な計算処理が必要になってきます。

特殊な計算処理のタイミング

給与所得者に対する定額減税は、扶養控除等申告書を提出している給与所得者に対して、その給与の⽀払者のもとで、その給与等を⽀払う際に、源泉徴収税額から定額減税額を控除する方法で⾏われます。
給与の⽀払者は、 下記の2つのタイミングで、定額減税のための特殊な計算処理を行う必要があります。

  • 令和6年6月1⽇以後に⽀払う給与等(賞与を含む)に対する源泉徴収税額からその時点の定額減税額を控除する事務
  • 年末調整の際、年末調整時点の定額減税額に基づき精算を⾏う事務

国税庁:「令和6年分所得税の定額減税のしかた」より抜粋

給与計算担当者は何をすべきか

まずは国税庁発行のマニュアル(給与等の源泉徴収事務に係る令和6年分所得税の定額減税のしかた)を一読して、6月からの給与計算に備えましょう。給与計算ソフト開発元も、各社対応する旨を続々と発表しています。制度の内容を理解したうえで、給与計算ソフトの処理方法をマスターしておきましょう。

普段は年末1回実施される「年末調整業務」が期中にもう一回増えてしまうようなイメージがあり、業務量が気になるところかもしれません。従業員の皆さんの手取りが増える措置ですから、間違いのないように処理していきましょう。

リンク

○内閣官房:新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置(2024年3月14日)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/benefit2023/index.html

○国税庁:定額減税特設サイト(2024年3月8日)
https://www.nta.go.jp/users/gensen/teigakugenzei/index.htm

2024年3月26日

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