企業規模によるテレワークの導入率の差異について

村瀬 俊昭

DX推進

新型コロナウイルスの流行を皮切りに「働き方の多様化」が急速に進んできたのではないでしょうか。
皆さんの会社はテレワークといった働き方は導入されていますでしょうか?
特に大企業に分類される会社はテレワークの実施率が高いことが以下「図表2-3-4-1 企業のテレワーク実施率」(注1)からわかります。


(総務省「令和3年 情報通信白書 第1部 特集デジタルで支える暮らしと経済」より抜粋)

テレワーク導入のメリット・デメリットなどを本コラムでお伝えできたらと思います。

■テレワークについて
テレワークとは「ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」のことです。細かく分類すると「在宅勤務(就業場所が自宅)」、「モバイルワーク(就業場所に依存せずどのような場所でも仕事ができる状態)」といったものがありますが一般的にはすべてまとめて「テレワーク」と呼ばれています。

■導入のメリット(注2)
企業側:
① 多様な人材の雇用、活用
就業場所に依存しなくてよくなるためオフィスから離れた場所に住んでいる方でも就業がしやすくなります。
② コスト削減
メリットとして挙げましたがオフィスを持たない、文書等のペーパーレス化が進んでいる企業であればコスト削減になると思います。
③ 緊急時における事業継続性の向上
テレワークの環境が整備されていれば新型コロナウイルスの感染拡大のような事態になっても業務が遂行できるため事業停止のリスクを最小限に抑えられます。
④ 営業効率の向上
営業先への訪問ではなくWeb会議のツールを利用することで移動時間を減らし営業効率の向上に繋がります。
⑤ 企業イメージ上昇
働き方改革として従業員への配慮があるという企業イメージの向上へと繋がります。
⑥ 企業のデジタル化の促進
テレワークを導入することで紙の文書を電子化していく必要があるため業務のペーパーレス化を促進することができます。ペーパーレス化が進むことでオフィス業務の改善が期待されます。
従業員側:
① QOLの向上
テレワークの導入によりオフィスへの通勤時間を減らすことができ従業員のストレスの減少、空いた時間での自己研鑽などワークライフバランスの充実に繋がります。
② 生産性の向上
集中して一つの業務に取り組むことができるため、生産性の向上に繋がります。
③ 健康管理
コロナの感染リスクを下げることができ、従業員の健康管理にも繋がります。

■導入のデメリット
企業側:
① テレワーク中の勤怠管理
通常はオフィスに出社してタイムカード等で打刻するのが一般的ですがテレワークで打刻できるような勤怠管理システムの導入が必須となってきます。
② セキュリティリスク
自宅やコワーキングスペースで業務を行うことがあるため第三者への情報漏洩、パソコンなどの紛失といったセキュリティリスクが高まります。セキュリティポリシーの整備、社内サーバーへのアクセスはVPN経由でアクセスを行うといったセキュリティ対策が必要不可欠となります。
従業員側:
① コミュニケーション不足
テレワークでは同僚や上司と対面でコミュニケーションを取る機会が減るのでチームワークの低下やメンタルの問題を抱えることもあります。
テレワークでもコミュニケーションを取る時間を設けるなどの全社的な対策が必要となります。
② 時間管理の難しさ
テレワークは自己管理で業務を進める必要があるためオフィス出勤時よりもルーズになってしまう傾向があります。
③ 作業効率の低下
テレワークでは自宅の空間を使うことが多いためオンとオフの切り替えがうまく出来ず 作業効率が落ちてしまう可能性があります。

■中小企業ほど導入できていない理由
冒頭に紹介した企業のテレワーク実施率のグラフでは大企業に比べて中小企業の方がテレワークの導入率が低いことがわかります。
一番の理由としてはテレワークの環境を整えることが難しいといったことが考えられます。
費用の面ですと従業員に貸与するパソコンの整備、セキュリティリスクを考慮して社外からアクセスする際のVPNの設定、UTMの導入、社内ですとテレワーク時の就業ルールの整備・策定などが挙げられます。
テレワーク導入の際は費用の問題を解決すること、専任でテレワークの仕組みを構築する担当者を決定することでテレワークの仕組み作りがスムーズに行われるのではないかと思います。

新型コロナウイルスの影響が落ち着いたとしても働き方は今後ますます多様化してくると思われます。都市部では駅の中に電話ボックスのようなテレワークブースが設置 されており、テレワークで活用できる様々なサービスが提供されてきています。テレワークを柔軟に取り入れることで企業も従業員もメリットがあるような体制作りを目指していくのでは良いのではないでしょうか。

<参考資料>
(注1)総務省 「令和3年 情報通信白書 第1部 特集デジタルで支える暮らしと経済」 2023年2月1日
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd123410.html

(注2)NTT東日本 「【まとめて紹介】テレワークにおけるメリット・デメリットとは?」 2023年2月1日
https://business.ntt-east.co.jp/content/telework_start/introduction/merit/

2023年2月1日
ICT活用推進課 村瀬 俊昭

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