【医療介護あれこれ】重度褥瘡処置の査定(QAより)

長 幸美

アドバイザリー

先日「重度褥瘡処置が創傷処置に査定されましたが、何故でしょうか?」という質問が来ました。
今日はこの査定について考えてみたいと思います。

■J001-4 重度褥瘡処置とは?
まず、重度褥瘡処置とは、「皮下組織に至る褥瘡(筋肉、骨等に至る褥瘡を含む)に対し、褥瘡処置を行った場合に算定する」とあります。
さらに皮下組織に至る褥瘡には、DESIGN-R2020分類d2以上とする、と規定されています。

算定のルールとしては、「注1」の中に以下の通り記載があります。
注1 重度の褥瘡処置を必要とする患者に対して、初回の処置を行った日から起算して2月を経過するまでに行われた場合に限り算定し、それ以降に行う当該処置は区分番号J000に掲げる創傷処置の例により算定する。
と記載されています。つまり、3月目以降に必要な場合は算定方法が変わっていくということです。

■褥瘡とは?
褥瘡は、いわゆる「床ずれ」といわれるものです。
体のある部位が、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなり、皮膚の一部が赤くなったり、ただれたり、傷ができてしまうことです。
仙骨部や踵、膝、肩甲骨や肩、肘など、比較的骨が触れやすい場所(脂肪や筋肉が薄いところ)にできやすいものです。

画像1

(出典:健康長寿ネット「褥瘡」より引用)

褥瘡の診断は、多くの場合は経過や皮膚の所見で診断が可能です。
また、上記の図にはありませんが、座る姿勢が多い場合、坐骨や仙骨部に褥瘡ができることもあります。

また、褥瘡の重症度の判定には日本褥瘡学会が開発した褥瘡の評価ツールDESIGN-Rが用いられます。これは褥瘡のD(深さ)、E(滲出液)、S(大きさ)、I(炎症)、G(肉芽組織)、N(壊死組織)の頭文字で、ポケットがある場合はP(ポケット)を付けます。褥瘡の状態をこれらの各視点で判定するのです。
英語が小文字で表現されていれば軽症、大文字で表記されているときは重症です。
さらに英語の後にかかれている数字は大きい方が状態の悪いことを示しています。DESIGN-R®は、違う人が見ても褥瘡が改善しているのか、悪化しているのかわかるように点数化したものです。(ページ下部のリンク参照)

■今回の査定について・・・
今回、カルテを調べてみると、初回の処置日から、暦月で2月を超えていたために査定を受けたものと思われます。さらに、踵の傷であったために、J000創傷処置の1_100c㎡
以下のものに査定されていました。

カルテの中で褥瘡の状況を見ていくとともに、点数表に書かれている算定ルールをしっかりと読み解いておけば、防げた査定だと思います。事務職員さんの力量が問われます。

同様の考え方としては、第2度熱傷に対する処置も、2か月を超えた場合は創傷処置の算定に切り替える必要があります。熱傷の場合は使用する薬剤にも注意が必要になりますね。

事務職員の皆さんが「診断や治療」を実際に行うことはないと思います。
しかし、この診断や治療について知らないと、薬剤の算定漏れや「誤請求」につながり、査定や返戻を受けることになります。事務職員の皆さんは、「診療報酬請求事務のプロ」です。これを機会に点数表を開いてみてください。また、処置内容を実際に見ておくことも処置を理解する上では、とても大事なことだと思います。
正しい請求を行い、医療機関の収入をしっかりと確保していくために、頑張っていきましょう!

<参考資料>
○改定DESIGN-R2020(日本褥瘡学会より)
http://www.jspu.org/jpn/info/design.html

 

医業コンサル課

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