【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「やけど(熱傷)の処置について」
長 幸美
アドバイザリーやけど(熱傷)というと、てんぷらをしていて油が跳ねたり、熱湯をひっくり返したり、鍋ややかん、ストーブやアイロンなど熱いものを触ったりして起こるものと思われがちですが、それ以外でも、様々な理由があります。
最近では、高齢者の低温やけどがメディアで話題になったように、湯たんぽやカイロのように比較的温度が低いものでも長時間接触すれば、やけどになる可能性も知られるようになりました。実は日焼けも熱傷のようなものといわれていますね。
今回は、このやけど(熱傷)について、考えてみたいと思います。
■やけど(熱傷)の種類
やけど(熱傷)には、熱いものを触って受傷するもののほか、電撃傷、薬傷及び凍傷が含まれるとされています。
また、やけど(熱傷)は深さによって第1度熱傷から第3度熱傷に分けられています。思いのほか深い場合もありますので、カルテなどで確認する必要があります。
■保険請求:J002_熱傷処置
熱傷処置については、初回の処置を行った日から起算して、2か月間のみ算定できます。
保険請求は熱傷の大きさにより、点数が異なっています。
一番小さな「100平方センチメートル未満」の大きさの場合、第1度熱傷の場合は基本診療料に含まれて算定できないものとされています。つまり手のひらよりも小さい範囲の熱傷の場合、第2度熱傷または第3度熱傷でないと、算定ができないというルールがあります。
なお、ここで示される範囲は、包帯等で被覆すべき創傷面の広さまたは軟膏処置を行うべき広さを言います。使用する薬剤は薬価から15円を控除した額を10円で除して得た点数に1点を加算して得た点数を算定します。薬価が15円以下は算定出来ません。
■複数処置を同時に行う場合
同一の疾病またはこれに起因する病変に対して、創傷処置や皮膚科軟膏処置、湿布処置が行われた場合は、それぞれの処置面積を合算して、主たるもので算定することになります。
同じ場所にいくつかの処置が行われた場合、合算した広さを各区分の範囲に照らした算定となります。(←追記と変更しています)
また、範囲の狭い軟膏の塗布またはシップの貼付のみでは、処置料の算定はできないものとされていますので、注意が必要です。
さて、皆さん、如何でしょうか?
今回覚えていただきたいことは、熱傷処置については、やけどの範囲で点数が変わってくること、そして、薬剤については算定が可能なものがあることを知っていただきたいと思います。ぜひ自院の処置等これを機会に見直ししてみてください。
<参考資料>
〇厚労省「告示第54号_別表第一」・・・210ページ~
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000907834.pdf
〇厚労省「実施上の留意事項(通知)保医発0304第1号_別添1」・・・470ページ~
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000935689.pdf
医業コンサル課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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