【令和4年度診療報酬改定】個別改定項目について

長 幸美

アドバイザリー

皆さま、もうご覧になっていますか?
令和4年度診療報酬改定の「個別改定項目について」が1月26日の中医協で審議されております。いわゆる短冊といわれているもので、まだ具体的な点数などは入っていませんが、改定の概要が明らかになってきました。予測以上に、厳しい改定になっているように思います。

今回の改定の基本方針を覚えていらっしゃいますでしょうか?

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(出典:第82回社会保障審議会医療部会_令和3年11月2日)

この中にありますように、今回の改定はコロナ禍により見えてきた課題にいかに対応し、地域医療・地域生活を守るのか、ということが重点課題となっています。
そしてもう一つの重点課題が、「医師の働き方改革」です。これは目前に迫っている「勤務医の残業時間数の制限」が大きく影響しているものと思われます。

さて、現在は、新型コロナウイルス感染症に対して、特例等によりさまざまに助成されていますが、令和4年度診療報酬改定において、新たな改定項目ごとに経過措置を設けることになっており、令和2年度診療報酬改定における経過措置を終了することが決められています。
令和2年8月31日発出された「新型コロナウイルス感染症にかかる診療報酬上の臨時的な取り扱いについて(その26)」等で示されている施設基準や患者及び利用者の診療実績等の要件については、臨時的な取り扱いを継続されるものもありますので、注意が必要です。

今回の改定は、一言でいうと、「効率化」に尽きるのではないか、と思います。
その中で、何を考えていくかというと、「働き方改革」と「機能分化」だと思います。
「働き方改革」については、医師事務作業補助者や特定看護師など、いわゆるタスクシェア/タスクシフトに加え、経験が長くより高度な支援者への評価に代わってきています。とりあえず頭数をそろえ、医師の支援をしている開始当初から、より高度な支援が求められ、これは人材教育をどういていくかになっていきます。

また、「機能分化」については、「なんちゃって〇〇」のような、とりあえず体制をとってるけれど、実行できていない医療機関に着目されているように思います。
その一例は、地域包括ケア病床(病棟)ではないでしょうか。本来の三つの医療機能(ポストアキュート・サブアキュート・在宅復帰)をバランスよく、さらに地域生活のバックアップの機能を果たしているかどうか、というところが評価されてきているように思います。
一般病床入院基本料についても同じですね。急性期機能を果たすためには、何が必要か、感染についてもしっかりと対応できるか、というところを問われているようにも思います。
そして忘れてはいけないことが、かかりつけ機能です。「機能強化加算」に在宅医療の実績要件が出てきました。これも「なんちゃって○○」に対応したものだと思います。
また、オンライン診療の概念が、「外来診療の一つ」というカテゴリになってきたように思います。このことにより、在宅医療も医学管理もWebを活用してしっかりとサポートし重度化防止に貢献してほしいと求められているように感じています。

調剤薬局、歯科医療についても同じことが言われていると思います。
先生おひとりで、口腔ケアや食事内容、服薬状況など把握できるものではありません。
つまり「かかりつけ機能」と「連携」です。社会生活をしっかりとサポートしていくことを診療所・小規模病院は求められていると思います。小児も高齢者も地域の中で「支える医療」を通して生活を支援していくためには、それぞれの専門家が、つながっていってほしいということでしょう。
病院側の目線で言えば、診療所の先生方の「コマッタ!」にいかに手を差し伸べていくか、ということかもしれません。その連携が、地域の住民を支えていくことになると思います。

細かな内容については、項目ごとに少しずつ解説していきたいと思います。

<参考資料>
■個別改定項目(中医協総―2_R4.1.26)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000887197.pdf
■新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その26)
https://www.mhlw.go.jp/content/000665994.pdf

医業コンサル課

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