【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「初診料と再診料」

長 幸美

アドバイザリー

今日は先生方の基本的な診療に関する報酬である「初診料」と「再診料」についてお話をします。この初・再診料は、外来診療が中心のクリニックをはじめ、医療機関では、「診察」にかかる基本的な料金になります。医療事務を始めたときに最初に教わる基本的なことですが、侮るなかれ・・・請求漏れや誤請求が多いものでもあります。

初診料」とは、一つの疾病について、患者が初めてその保険医医療機関を受診した時に算定できる、と定義づけられています。診察中に他の疾病や怪我で受診した場合でも、初診料の算定はできず、再診料の算定になります。
一方、「再診料」とは、同一の疾病について、2回目以降に同じ医療機関を受診した時に算定できるものとされています。
一度もかかったことがない患者さま(初来院患者)であれば、とても分かりやすいですが、たまにしか来院がない患者様の場合、「初診料」を算定するか、「再診料」を算定するか、悩むことがありますよね。
また、複数の診療科があり、複数の医師がおられる医療機関では、初・再診料の中に「同日の2診療科受診」という仕組みがあり、初・再診料が半分算定できる仕組みもあります。
ここで整理しておきましょう。

【同日の2診療科受診】
同じ日に、複数の診療科の別々の先生を受診することは少なくないと思います。
例えば、「①糖尿病で内科に受診をした後に、②膝が痛くて整形外科に受診する場合」等が考えられます。
この場合、標榜科目が内科・整形外科と複数あっても、同じ先生が診察をする場合は、診察料は1回のみの算定となります。しかし、同じ日に①内科は糖尿病のA先生、②整形外科は整形外科専門のB先生、というふうに別の先生が診察する場合、①では初診料や再診料を算定しながら、②の整形外科では「同日2診療科受診」として初・再診料の半分の点数が算定できます。

この場合のポイントは「同日に受診している」というところになります。
点数表には厚労省から出されているQ&Aにも記載がありますので、ご参照ください。

<診療報酬点数表>
・診療区分番号 「A000(初診料)の注5」「A001(再診料)の注2」を参照ください。

【再来であって初診料が算定できるのはどんな時?】
再来であって初診料が算定できる場合には3つのポイントがあります。
① 「治癒」している場合
これは、カルテへの「転帰」の記載がとても大事になります。
カルテへ「治癒」の転帰がある場合は、もれなくレセプトへも治癒の日付を入れることになります。

② 治療中ではあるが、患者の自己中断後1カ月が経過している場合
慢性疾患の糖尿病で受診中であっても、受診指示を無視して来院されない患者さまがおられると思います。このような場合、治療を途中で中断したとみなし、初診料の算定を行うことができます。この場合、転帰は必要で、「中止」とし中止日を記載します。
また、ご本人様に連絡を入れ、受診を勧めたほうが良いかもしれません。中には、お薬を飲み忘れ、たくさんあるから受診しなかった・・・という患者さまもいらっしゃるかと思います。「受診をお勧めした」事実を記載し、相手がどのように言ったのか、記録をしておく方が良いでしょう。
先生が半年後の受診や3か月後の受診を指示している場合は、自己中断とはみなせないと思いますので、注意が必要だと思います。

③ 1発作期間1疾患の考え方・・・同一疾病(喘息等の間歇性疾患の治癒、再発)の受診
喘息発作に多いのではないかと思いますが、発作が出たときだけ受診し、平常時は投薬も何もない患者さんもいらっしゃいます。このような場合は、1発作期間1疾患と考えて初診料を算定してよいとされています。

【初再診料が算定できないケース】
初再診料の通則の中に、以下の場合には「当該診察に対する一連の行為とみなされ、別に初再診料は算定できない」という記載があります。注意が必要ですね。
ア 初診時または再診時に行った検査、画像診断の結果のみを聞きに来た場合
イ 往診等の後に薬剤のみを取りに来た場合
ウ 初診又は再診の際、検査・画像診断・手術等の必要をみとめたが、一旦帰宅し、後刻又は後日検査・画像診断・手術等を受けに来た場合

さて、皆様の医療機関ではどのように算定されているでしょうか?
今回お問い合わせやご相談が多い場面をピックアップしています。基本的な考え方の部分になると思いますので、一度整理してみましょう!

医業経営支援課

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