【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「保険診療のルール」

長 幸美

アドバイザリー

保険診療は、健康保険法等の各医療関連法の中で定められているルールがありますが、「保険医療機関及び保険医療養担当規則」の中に保険診療の方針、禁止事項等が細かに記載されています。
今日はこの保険診療のルールについて、大事なことを見ていきましょう。
詳細な内容については、最後に参考資料を付けておりますので、ご参照ください。

【混合診療の禁止】
医療保険において、一つの疾患に対し、保険診療と自費を組み合わせて行うことは原則禁止されています。これが「混合診療の禁止」です。
現在、保険制度の中で、自費で支払いを求めていい範囲が定められ、それが「保険外併用療養費」として規定されています。この保険外併用療養費は、「選定療養費」「評価療養」があります。

【自己診療の禁止】
これは医師本人が自らを診療することを「自己診療」といいます。
医師は業として診療を行うことが認められているものですが、自分自身については「業といて認められていない」ということになります。
医師国保では、投薬のみは認められていますが、診療費(初診料、再診料)等は認められていません。

似たような言葉で「自家診療」という言葉があります。これは自分の家族や自院の職員の診療を行うことを指しますが、しっかりと診療を行い、その内容を記録しておく必要があります。

【無診察診療の禁止】
医師は、自ら診察をせずに、治療・診断書の作成等を行うことは禁止されています。
例えば、「今日は薬だけ希望」「注射だけお願いします」「リハビリだけだから・・・」ということはできません。必ず医師が診療を行ったうえで、投薬、注射、リハビリを実施することが大事です。

【特定の調剤薬局への誘導の禁止】
院外処方を選択されている医療機関では、患者さんがどこの調剤薬局でお薬をもらってもよいのですが、ご案内するときは、近隣の複数の調剤薬局が分かるような案内ツールを作成しておくといいでしょう。

【診療の方針について】
診断にあたっては「適切な手順を踏んで診断を行うこと」とされています。これは、非常に多い査定理由に該当します。いきなり精密検査等を行う場合は、前医での指摘や健診等で強く疑われている場合など、コメント対応が必要な事例です。
例えば、単純撮影がないCT/MRIの実施、画像診断がない腫瘍マーカーなどです。

【算定ルールは守りましょう】
悪性腫瘍が確定した場合、「悪性腫瘍物質治療管理料」で算定するように規定されています。一部の主要マーカーについては疑い病名で別算定することが認められていますが、これは点数表の規定によるものです。診療報酬点数表を確認するようにしてください。

<参考資料>
※「療養担当規則及び薬担規則並びに療担基準に基づく厚生労働大臣が定める掲示事項及び保険外併用療養費にかかる厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」を参照してください。
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000638289.pdf

医業経営支援課

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