【医療介護あれこれ】診療情報提供書について(QAより)

長 幸美

アドバイザリー

「診療情報提供書料の算定するタイミングが分かりません・・・」
これは、医療機関の訪問を行うときに時々耳にすることですが、皆様はどのように算定されているでしょうか?
「診療情報提供書」の書式を使用しているから・・・
「紹介状」って書いてある封筒をつかうから・・・
それって正しい判断でしょうか?
今日は、「診療情報提供書」について考えてみたいと思います。

そもそも「診療情報提供書」とはどういったものでしょうか?
ウィキペディアでは、「医師が他の医師、あるいは医療機関へ患者を紹介する場合に発行する書類」と説明されています。

点数表上では、3つに分けられ、それぞれの位置づけが「通則」の中に記載されています。

診療情報提供料(Ⅰ)は、医療機関間の有機的連携の強化及び医療機関から保険薬局又は保健・福祉関係機関への診療情報提供機能の評価を目的として設定されたものであり、両者の患者の診療に関する情報を相互に提供することにより、継続的な医療の確保、適切な医療を受けられる機会の増大、医療・社会資源の有効利用を図ろうとするものである

診療情報提供料(Ⅱ)は、診療を担う医師以外の医師による助言(セカンド・オピニオン)を得ることを推進するものとして、診療を担う医師がセカンド・オピニオンを求める患者又はその家族からの申し出に基づき、治療計画、検査結果、画像診断に係る画像情報等、他の医師が当該患者の診療方針について助言を行うために必要かつ適切な情報を添付した診療状況を示す文書を患者又はその家族に提供した場合に算定できるものである。なお、入院中の患者に対して当該情報を提供した場合であっても算定できるものである。

診療情報提供料(Ⅲ)は、かかりつけ医機能を有する医療機関等と他の保険医療機関が連携することで、質の高い診療が効率的に行われることを評価するものであり、かかりつけ医機能を有する医療機関等からの求めに応じ、患者の同意を得て、当該患者に関する診療状況を示す文書を提供した場合に、患者1人につき提供する保険医療機関ごとに3月に1回に限り算定する。

つまり、診療情報提供書(Ⅰ)は、他の医療機関の診療が適切であると判断した場合に算定ができるものとされ、そのあて先は、市町村、介護保険事業者、調剤薬局、指定特定相談支援事業者(障害・児童)等、幅広くなっています。
診療情報提供書(Ⅱ)については、セカンドオピニオンを患者が希望した場合に、これまでの診療内容を添えて依頼する場合に算定するとされており、患者からの申し出により発行するものとなります。
診療情報提供書(Ⅲ)については、かかりつけ医機能を持つ医療機関(A)からの紹介患者、若しくはその他の医療機関(B)から紹介された妊娠中の患者を、敷地内禁煙の基準を満たす医療機関(C)で診療し、(A)(B)からの照会に対し、(C)が情報提供を行った場合に算定ができるもので、令和2年4月改定で評価がついたものになります。

その他に、「診療報酬連携共有料」というものがあり、歯科医療機関と情報共有を行うことについても、評価されており、地域の中での医療機関や行政をはじめとする患者の生活を支える方々との連携については、手厚く診療報酬で評価されていますので、これを機会に、 一度点数表を見直されることをお勧めします。

また、この算定の場合の留意点としては、いずれも「患者の同意」が必要となります。
通則の中にある「両者の患者の診療に関する情報を相互に提供することにより、継続的な医療の確保、適切な医療を受けられる機会の増大、医療・社会資源の有効利用を図ろうとするもの」という考え方に基づくと、単なるお返事(報告)では算定ができない、ということが理解できると思います。

また、医学通信社の「診療報酬点数早見表 医科令和2年4月度版」の診療情報提供書料の項目のところには、あて先ごとに算定できる加算点数も分かりやすく整理されていますので、一度ご確認いただければと思います。

医業経営支援課

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