【平成30年度診療報酬・介護報酬改定】改定その後
長 幸美
アドバイザリー残暑お見舞い申し上げます。
今年はいつになく猛暑となり、連日「危険な暑さ」と表現されています。立秋を迎えましたが、まだまだこの暑さは続きそうです。それでも体は少しずつ慣れてきたのか、日が落ちると「涼しい」と感じているのは私だけではなさそうです。
さて、平成30年度の診療報酬・介護報酬の同時改定が実施され、4ヶ月が過ぎました。皆様の医療機関・介護事業所では、その影響に対し新たな取り組みをはじめ、対策を立てておられる方も多いと思います。
やれやれひと段落・・・と一息ついておられる方も多いでしょう。
しかしながら「看護必要度」をはじめ、9月に経過措置が切れるものもあり、対策に苦慮されている病院さまも多いのではないでしょうか?
次期改定へ向けて少しずつ中医協も動き出しているようでございます。
今回の改定の特徴は、「実績」や「取り組み」に対して評価が分かれてきたというところだと思います。これまでは設備や人員の配置に対し診療報酬がついてきましたが、今後は「どのような患者さまを受入れ、どのような診療や看護を提供したのか」に評価がシフトしていきます。このため、極端な話ではなく「スタッフがどのような働きをしていくか」「本当に必要な人員か?」「他部門との協力体制があるか?」というところが大きな課題となってくると思います。
「看護必要度」については、一般病棟の急性期入院基本料を算定される病院さまにとっては頭が痛い話ではないでしょうか?
「看護必要度Ⅰ」と「看護必要度Ⅱ」の2種類に分かれてきていますが、皆様方の病院さまでは「看護必要度Ⅱ」での判定をされていますか?
3ヵ月平均でなお且つ、「看護必要度Ⅰ」と「看護必要度Ⅱ」の測定値の差が0.04を超えない場合に算定できるとあります。
「看護必要度Ⅰ」は看護師さんの目視による測定・評価です。
「看護必要度Ⅱ」は医事データから計算+B項目は目視によって求められるものになります。
このため誤差があることを想定されてはいますが、この「0.04を超えない」というところもポイントになってくると思います・・・皆様の病院さまでは如何でしょうか?
さらに、3ヵ月の平均値で管理をし、一時的な変動は認められませんから、継続的に数字を追っていく必要もあります。
この「看護必要度Ⅱ」で計測することにより、大きいところでは30%も上がる病院も出てきて、かなり議論になっています。
この場合、なぜ「看護必要度Ⅱ」のほうが高くなっているのでしょうか?
変化がある要因としては、「看護必要度Ⅰは、看護師が目視で判定をしている」というところにあります。
つまり、看護師のスキルにより低く判定出していた事例が多いということです。
看護必要度の判定については、ばらつきをなくすため、判定者の研修を要件とされていますが、継続して研修を行い、だれが見ても同じように判定ができるように、継続的な研修が必要になってきます。しっかりと研修を行い、適正にすることにより、差が狭くなってくるということが起こります。
その反面、「看護必要度Ⅱ」で測定すると下がったというお話もお聞きします。原因を見ていくと、医事課で入力をする場合に、入力が漏れている、ということが考えられます。目視であることでアップコーディング(実際よりも重症と判定していた)かもしれない・・・ということです。
それ以外には、出来高算定ではないところでは、「請求に必要がないものは入力しない」というところもありますが、その入力データをもとに判定しているため、下がっているという問題が見えてきました。
いずれにせよ、大きく違っていると「看護必要度Ⅱ」の測定へ変更の手続きができないことになりますので、急性期入院基本料4.5に下がってしまうことになります。早急に対応しなければならないですね。
また、このように「看護必要度」の判定方法を変更することにより、病棟や事務職員の業務スキル・業務内容の課題が見えてきたという結果になって、副次的に院内の課題があらわになってきた病院さまも多いのではないでしょうか?
暑い時期ではございますが、この機会に当たり前と思ってやっていたことを、一度見直してみては如何でしょうか?
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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