【医療介護あれこれ】次期改定へ向けて:在宅医療について
長 幸美
アドバイザリー平成29年1月・・・早いもので次期同時改定まで1年余りとなり、すでに改定について、現状の整理と医療提供体制の現状の分析が始まりました。今回は、平成29年1月11日に開催された中医協の資料を基に現在の在宅医療を考えてみたいと思います。
次期改定は、医療と介護の同時改定という非常に大きな意味を持っています。少子高齢化が進んだ今、前回の改定でも出てきていたように、2025年に向け、働き手の確保が大きな問題になってきます。このために、病床機能報告が義務化され、有床診療所や介護系の施設も含めて、それぞれの持つ機能を有効に使い、地域の中での生活をサポートすることが検討されてきました。
都道府県ごと、二次医療圏ごとに検討はされていますが、人口ピラミッドを見ても、人口減少とともに、支え手が減少していくことは目に見えてきています。このような中でも医療・介護の支え手をしっかりと確保し、医療機能を確保するためには非常に重要な報告であり、地域医療構想が重要な内容になっています。
福岡県は、全国でもまだまだ高齢者が増加していく地域となっています。また、福岡市では、人口が増加している数少ない地域ですが、その福岡市周辺でも核家族化等の都市型の課題は多く、介護士不足、看護師不足は深刻になってきています。
多くの地域、とくに過疎化が進んでいる地域ではこの単独世帯や夫婦のみ世帯が増加している傾向があります。このため、高齢者向けの住宅が徐々に増加傾向にありますし、療養型病床の介護施設化、老健の特養化などの施設の分析や課題も明らかになってきています。
後期高齢者になるにしたがって、何らかの医療や医学的な管理を必要とする場合が増加してきます。反面、自宅で暮らしていくためには、「家族の協力」や「介護サービス」が充実していることがとても重要になってきます。
ではどのような介護サービスが必要になってくるのでしょうか?
このように、入浴や食事、排せつといった「日常生活の世話」が一番必要とされているということがアンケート調査でもわかってきています。また、同時に年齢とともに介護サービスの受給割合は高くなり、要介護状態にある方は何らかの介助なしには外出できない割合が高くなります。
また、看取りの場というものも考えていくと、半数以上の方が自宅を希望され、病院で看取りを望まれる方は約3割となっています。
では、高齢者が希望通りに「自宅で生活をし続ける」ためにはどのようなことが必要でしょうか?
現在の在宅の医療体制においては下記の図のように、地域医療構想の中で、在宅の役割が検討され、明確になってきています。
① 在宅医療へ向かうための「退院支援」
この退院支援は病院の中だけではなく、在宅医療を提供する先生や介護事業所との協働が非常に重要であると考えられています。その連携のために、どのようなことが必要でしょうか、何ができるのでしょうか?
② 日常の「療養支援」
家族の生活をも支えていく視点が必要で、緩和ケアの提供にも大きく影響があると思います。
③ 急変時の対応
自宅療養で一番患者や家族が心配なことは、「病状の急変時における緊急往診体制」がどのようなっているのか?ということであり、入院が必要な時に、「入院病床が確保されているのか?」ということではないでしょうか?
④ 「看取り」
昔は、日常の家庭生活の中に生と死が共存していました。患者自身が「どこで最期の時を過ごしたいのか」その時間を過ごすために、医療者としてどのように寄り添えるのか、考えていきましょうということではないかと思います。
私は、今SNSの中で、全国の在宅を支援されている先生方、介護事業者様、その中で生活をされている患者様とそのご家族様・・・様々な方々とつながることができています。パソコンの前にいながらにしていろいろな情報を得ることができる・・・とても便利な世の中になっています。
しかしながら、対面してこそ初めてわかることもたくさんあるということを仕事の中で感じています。その方々からは、自然の中に身を置き、生活をする患者様に寄り添うことで、実現できる看取りがあること、その命を繋いでいく場、想いを繋いでいく場に関われるという在宅医療の素晴らしさを教えてくださいます。このようなことを少しずつお伝えすることができればと思います。
次回は、この参考資料に基づき、在宅医療の提供体制について考えてみましょう。
<参考資料>
※在宅について(その1)・・・中医協 平成29年1月11日検討資料
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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