【医療介護あれこれ】速報「告示が出ました!」
長 幸美
アドバイザリー梅の花が咲き、早くも河津桜の便りも届く頃になりました。
とても気持ちの良い季節になりましたが、医療機関様にとってはこれから来月半ばまでは改定終盤、基準の見直しやシステムのマスタの見直しなどで非常に忙しい時期となってまいりました。インフルエンザも流行っておりますので、どうぞ体調管理には充分にご注意されて、この改定を乗り切っていきましょう!
さて、今回の改定は、「地域医療構想を後押しする改定」として注目されています。非常に厳しい改定となっていますが、今まで地道にコツコツと診療を行われてきた先生方にとっては、「想定していたほど影響はないな」と考えておられる医療機関様もあるのではないでしょうか?
ここでもう一度、今回の改定の概要を整理しておきましょう。
今回の診療報酬改定率は、本体で+0.49%と発表されていますが、実際には薬価の改定や市場拡大再算定の特例等があり、実質はマイナス改定となっています。
4つの視点に分かれて、特に「医療機能の分化」と「多職種連携」「在宅への支援」について重点的に改定が行われています。
出典:平成28年3月4日 平成28年度診療報酬改定の概要(厚生労働省 保険局 医療課長 宮嵜雅則氏)P3
「医療機能の分化」については、地域包括ケアシステムの観点から、急性期・回復期・慢性期・在宅とそれぞれに医療機能の強化のための評価をつけて、医療機能ごとの患者像に応じた評価と組み合わせることにより、適切な医療提供ができるように点数の配分もされています。
このため、7対1の病床についてはより重度な患者、手術や救命救急にかかる患者、認知症等の意思疎通が難しい患者の治療に苦労してくださる医療機関への評価が行われています。また、10対1の病棟についても、二次救急等で中重度の患者をより多く受け入れる病棟に対して評価がついています。この評価が「重症度、医療・看護必要度」の基準の見直しとなっています。
また、7対1から10対1の病床へ移行を考えられている医療機関様は「病棟単位」で届出ができるように経過措置がつくられています。
出典:平成27年12月9日 中医協 総-2 入院医療(その7)P49
外来における機能分化については、これからさらに増加するであろう「認知症」に対するサポート(どう支えていくか)とともに、『かかりつけ医』の役割は大きくなり、かかりつけ医をはじめとして、「かかりつけ薬剤師・薬局」「かかりつけ歯科医師」にも注目されています。それぞれに定義づけとともに役割分担も明確にされ、期待度が高いことが伺われます。
出典:平成28年3月4日 平成28年度診療報酬改定の概要(厚生労働省 保険局 医療課長 宮嵜雅則氏)P10
また、在宅への移行についても、『退院時支援』について整理され、重点的に組み替えられています。地域連携パスについては「脳血管疾患」「大腿骨頚部骨折」の疾患の縛りがなくなり、地域の医療機関との連携をどのようにとっていくのかが、大きなポイントとなってきます。回復期の機能をどのようにサポートしていくのか、地域をどのように支えていくのかと言う観点からもとても重要なポジションとなります。
リハビリテーションについても同様で、形を変えつつ、生活のリハビリまでをしっかりとサポートしていく事が必要です。
出典:平成28年3月4日 平成28年度診療報酬改定の概要(厚生労働省 保険局 医療課長 宮嵜雅則氏)P17
参考資料で厚生労働省保険局の宮嵜雅則医療課長のスライド資料を添付しております。今回の改定の概要がとても分かりやすくまとめられておりますので、是非ご覧いただき、これからの改定を読み解いていく基本的考えとしてご利用ください。
地域を支えていくのは、「地域で頑張っておられる医療機関の皆さん」です。
是非、ご自身の医療機関がもっている「医療機能」を見つめなおし、平成30年へ向かってこの改定を乗り切っていきましょう!
【参考資料】
〇平成28年度診療報酬改定の概要(厚生労働省 保険局 医療課長 宮嵜雅則氏)
〇平成28年度診療報酬改定の概要(厚生労働省保険局医療課)
経営コンサルティング部
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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