【医療・介護あれこれ】地域医療構想を踏まえた診療報酬改定の動向② 『地域医療構想について』

長 幸美

アドバイザリー

さて2回目は「地域医療構想」についてお話をします。

「地域医療構想」は「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」という長い名前の法律の中で、地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保」として位置づけられています。

この中では「地域毎に」地域の実情に応じて考えていくということが明示されています。
都道府県の担当者向けに出された文書の中には、
都道府県の計画は、1年ごとに計画を作成すること
② 医療法の基本方針をもとにして、医療計画は6年ごとにたて、地域医療構想に落とし込んでいくこと
③ 介護保健法の基本方針をもとに、介護保険事業支援計画は3年を1期として計画
そして、都道府県の計画と医療計画、介護保険の事業支援計画は整合性を確保していくことが定められています。また、この中で、「医療は外付け」で・・・と位置づけられていますが、高齢化に伴い様々な機能低下がおこってくるため、医療の必要性は高まっていきます。

また、10年後の患者は1割が減少することが予想されています。これは人口の減少に伴うものと、現状のそれぞれの病床の在院日数の現状を比較して推定されているものです。
前回、病床機能報告とナショナルデータベースのお話をいたしましたが、その中でも、「自院の機能と地域の医療ニーズをもう一度検討する」ことをお勧めいたしました。
現在の病院において「在院日数の減少」は稼働・回転が早まっていることをあらわします。ベッドの稼働を確保していくためには、「地域の他医療機関」から患者の紹介をどのように受けるのか、その治療内容を充実させ、「退院支援の体制を強化」し、「在宅で生活し続ける」ことを医療機関としてどのように「支えて」いくのかということも考えていかなければならないと思います。そのためにはリハビリテーションの考え方を大きく変えていくことも必要でしょう。

都道府県の中では、作業部会があり、「5疾病5事業+在宅医療」に対し「圏域連携会議」から協議計画の報告をもとに協議する場とされております。福岡県内はじめ、二次医療圏ごとに、この「作業部会」が開催されています。福岡県では、スケジュールも発表され、「地域医療構想の策定」に向けて徐々に話しが進んでいます。
その中では、以下の5項目が「協議事項」としてあげられています。
① 地域医療資源の把握
② 圏域の設定
③ 課題の抽出
④ 数値目標の設定
⑤ 具体的施策を盛り込んだ計画策定

この協議の中には「医師」が入らなければ話を進めて行くことが困難であることから、医師会や病院協会などが立ち上がっているということもお聴きしています。診療でお忙しいとは思いますが、「医療側の思い」や「地域の中での役割」を示す良い機会であると考えます。是非、先生方、看護師さんはじめ事務職員の方々も参加して見られるのも良いのではないでしょうか。

また、この医療構想の中には、前回もお話しした「医療機能ごとの区分け」をどのように考えていくのか?ということも関係してきます。
厚労省の分析では、「医療区分1」の患者の役7割は在宅で対応が可能であると考えられています。今後この「医療区分」の内容や一般病床における「看護必要度」の内容を精査・協議され、全ての病床において「患者の本来の病態」を把握して、全ての方が「その状態に応じて適切な場所で適切な医療・介護サービスを受ける」ため、医療の病床だけではなく、集合住宅も含めて検討・確保が必要だと考えられています。
その中で、注目されていくものは「地域包括ケア病床を含む回復期病床」であると考えます。

次回は、平成26年度の診療報酬改定について振り返ってみましょう。

地域医療構想の策定について(福岡県スケジュール)(クリックすると別ページが開きます)

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