【介護保険あれこれ】コミュニケーション・・・「暗闇の中の対話」で感じたこと
長 幸美
その他早いもので、夏休みも終わり季節も変わって実りの秋を迎えております。
皆さんは「ダイアログインザダーク・・・暗闇の中の対話」という体験施設をご存じでしょうか?
先月、29日~31日までの3日間、佐賀県とコラボして九州で初のイベントが行われ、佐賀県知事が体験をされメディアで報道されておりました。
どのようなものかというと、1ユニット8名に1人のアテンドが付き100%の暗闇の中で、さまざまな体験をします。アテンドは日頃から視覚に頼らずに生活をしている視覚障害者の方です。私たち8人はどんなに目を凝らしても何も見えない真っ暗闇の中で、視覚以外の五感を使って、物事を感じコミュニケーションをとりながら様々なシーンを体験していきます。
これは、1988年ドイツでスタートをしました。これまでに世界35か国、約130都市で開催されているそうです。日本では1999年11月に初めて開催されているそうで、この神宮前の会場のほか、大阪のグランフロントでも開催されています。
私は、8月の終わりに、「僕たちの夏休み」を体験してきました。田舎のおじいちゃんの家に遊びに行くという設定です。視覚がなくなると、不思議と草や土の匂いや小川のせせらぎの音、虫の声、線香花火の火薬のにおいや音をより強く感じることができます。足元も、草むらや土の道、砂利道、丸太など、靴の下の大地を感じることができます。原っぱでアテンドのゆかさんも含んで9名でボール遊びをしました。ブラインドサッカーで使用する鈴が入ったボールを使用します。声と気配により距離を測って投げていきます。
また、喫茶店に行き注文してお茶を楽しんだり、お金を探して支払いをしたりするのですが・・・自分以外の方が何をしているのか、隣にいる方が誰なのかもさっぱりわかりません。どちらに行くのか、何があるのか、歩くのか、止まるのか、座るのか、上るのか・・・私自身が行うこと、感じることを言葉で伝えていくことの大切さ、難しさを感じました。
私は、視覚障害者の方の同行援助の上位研修も受け資格も持っています。その時に、言葉で周囲の状況を伝えていくこと、コミュニケーションや先導していくことの重要性、危険回避のための配慮などを学んでいたのですが、暗闇の中では何の役にも立ちませんでした。すべてを受け入れ、私自身も開いていくことが必要だなあと思いました。
とても、感じることが多く、考えることも多かったです。
介護や医療の世界でも一緒だと思います。
疾病を抱えて、何かと気が弱くなっていらっしゃる方、ご高齢でこれからの不安を抱えていらっしゃる方、様々な方がいらっしゃいますが、その方々の状況を把握し今後のことを考えていく中で、コミュニケーションは非常に大きなウエイトを占めていくと思います。私たちは視覚により多くの情報を得ていますが、電話の場合や直接会ってお話しをする方でも心の中まで透視する事はできません。ダイアログインザダークでの体験は「言葉で伝えていく」こと、相手の心に寄り添うことをより強く感じることができると思います。また、視覚以外のものを使って「みる」という事があるという新たな発見になると思います。
みなさんも、是非体験されてみませんか? きっと、新たな発見があります。
ダイアログインザダーク
http://www.dialoginthedark.com/
経営コンサルティング部
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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