一括贈与で1,000万円まで非課税 ~「結婚・子育て資金」~

佐々木総研

税務・会計

平成25年4月1日から平成27年12月31日までの3年間の措置として、先に創設された「教育資金の一括贈与の非課税措置」については、耳にされたり、実際に贈与をされている方々も多くいらっしゃると思います。この制度は両親や祖父母等の直系尊属から子・孫に教育資金を一括して贈与する場合に1,500万円までを非課税とするものです。

今回創設される措置は、個人(受贈者)の結婚・子育てに充てる資金を直系尊属(贈与者)が拠出し、金融機関に信託等をした場合に、受贈者1人につき1,000万円(結婚関係費用については300万円)までは贈与税が課されなくなるものです。この特例は、平成27年4月1日から平成31年3月31日までに拠出された結婚・子育て資金に限られます。

具体的には、親や祖父母が、金融機関(信託銀行・銀行・証券会社等)に、子や孫(20~50歳未満)名義の口座を開設し、結婚・子育て資金を一括して拠出します。結婚・子育て資金の具体例としては、挙式費用・新居の住居費・引越費用・不妊治療費・出産費用・産後ケア費用・子の医療費・子の保育費(ベビーシッター費含む)などで、金融機関が、受贈者から提出された領収書等をチェックし目的通りの支出であるかを確認します。なお、受贈者名義の口座は、受贈者が50歳に達する日に終了するため、その時点で残高がある場合は贈与税が課されることとなります。

仮に、20歳の孫に祖父母が拠出した場合、孫が50歳になるまでには30年間もの期間があり、その期間中に贈与者が死亡する可能性も高くなります。この場合には、贈与者死亡時点の口座の残高は、贈与財産ではなく相続財産として加算されることとなります。(通常、配偶者・父母・子以外の者が相続・遺贈により財産を取得した場合、その者の相続税額の2割が加算されますが、この場合は2割加算の対象とはなりません)

新設される措置の為、具体的に結婚・子育て資金に該当するか否かについては随時、Q&Aが発表されるものと思われます。

先の「教育資金の一括贈与の非課税措置」は祖父母から孫への贈与が93%(信託協会調べ)も占めておりますが、今回の「結婚・子育て資金」は親から子への贈与が中心になると見られています。使い勝手がどうかは実際に使ってみなければわからない面もありますが、若年層の結婚・妊娠・出産・育児に対する経済的不安を解消することを目的に創設される措置ですので、この措置が少子化対策の一つとして功を奏し、意味のあるものになることを望みます。

税務会計2課 シニアコンサルタント

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