外来・入院・在宅をつなぐ診療報酬の実務②~入院から在宅へ移行する時に算定できるもの~
長 幸美
医療介護あれこれ本コラムの内容は、執筆時点での法令等に基づいています。また、本記事に関する個別のお問い合わせは承っておりませんのでご了承ください。
急性期治療を終えた患者さんが退院し、在宅療養へ移行するケースは年々増えています。
退院後の生活を支えるためには、病院と在宅医療機関の連携が不可欠です。
ここで重要になるのが 退院時共同指導料(退院前カンファレンス)、そして 退院前・退院後訪問指導料です。
今回は在宅医療を開始するうえで大事なポイントをまとめていきたいと思います。
目次
退院時共同指導料とは?
退院後の患者さんが安心して在宅療養に移行できるようにするための取り組みを評価するものです。
この為、入院中の医療機関と退院後の在宅医療を担う多職種(医師、看護師、薬剤師、管理栄養士など)が共同で指導を行い、情報を共有します。
そして、患者と家族の同意を得て、指導内容を文書で提供した場合に入院中に1回算定できます。
厚生労働大臣が定める疾患の場合は2回算定ができます。
退院時共同指導料には、ⅠとⅡがあります。
| B004 退院時共同指導料1 | 1 在宅療養支援診療所 1500点 2 1以外の場合 900点 | 退院後の在宅療養を担う 保険医療機関、Web参加可能 |
| B005 退院時共同指導料2 | 400点 | 入院医療機関 |
まだ診療を開始していない患者さんの場合、退院後の在宅療養を担う保険医療機関は、初診の扱いになります。しかし、この点数(B004)を算定すると初診料は算定できない扱いになることになりますので、ご注意ください。
算定できるのはこんなとき
病院で開催される退院前カンファレンスに参加し、退院後の療養方針を確認した場合。
カンファレンスは 対面またはオンライン(Zoom等)でも可能。
参加した記録と、患者・家族への説明をカルテに残すことが必須です。
入院中に2回算定できる場合は?
退院時共同指導料は原則1回のみの算定ですが、「厚生労働大臣が定める疾病等の患者」に該当する場合、2回まで算定できます。具体的には、厚生労働大臣が定める疾病に該当する患者や、ドレーンチューブ・留置カテーテルを使用している患者、人工肛門または人工膀胱を設置している患者などが該当します。
厚生労働大臣が定める疾病等の患者は以下の通り規定されています。
別表第3の1の3
告示4「特掲診療科の施設基準等」より
① 末期の悪性腫瘍の患者(在宅がん医療総合診療料を算定している患者を除く。)
② (1)であって、(2)又は(3)の状態である患者
(1)在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養
法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅人工呼吸指導管理、在宅麻薬等注射指導管
理、在宅腫瘍化学療法注射指導管理、在宅強心剤持続投与指導管理、在宅自己疼痛管理指導管
理、在宅肺高血圧症患者指導管理又は在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者
(2)ドレーンチューブ又は留置カテーテルを使用している状態
(3)人工肛門又は人工膀胱を設置している状態
③ 在宅での療養を行っている患者であって、高度な指導管理を必要とするもの
この③「高度な指導管理を必要とするもの」とは、上記②の(1)に掲げられている「指導管理」を2つ以上必要としている状態を指すものと解釈されています。
退院時カンファレンスに参加する意義
退院時カンファレンスは、患者・家族と医療・介護の多職種が連携し、退院後の生活を安全かつ継続的に送れるように、必要な支援体制を具体的に話し合い、情報を共有する場であることです。
これにより、患者さんやご家族の不安軽減、医療と介護の切れ目のないサービス提供、そして安心して退院後の生活を送るための計画を立てることが可能になります。
在宅療養を担当する医師や看護師にとっては、入院中の患者さんの状態を聞くことで在宅医療に必要な支援内容を把握できます。そのうえで処置等の留意点や投薬やリハビリの様子、患者さんの状態等を観察することもでき、スムーズな在宅支援につなげていくことができるのです。
退院前訪問指導及び退院後訪問指導について
カンファレンス等による入院から在宅療養への支援と同様に、重要な支援があります。
これは診療所の支援というより、入院している医療機関側が算定できる診療報酬になりますが、少しだけ触れておきたいと思います。
入院医療機関が算定するものですが、いずれも在宅療養へ円滑に移行するために重要な支援です。
退院前訪問指導
入院された患者さんが在宅復帰するにあたり、ご自宅(生活の場)を訪問し、安心して在宅での生活を始めるために準備をすることやどのような介護支援が必要か判断するために行うものです。
入院している病院のリハビリテーションの専門職や看護師等が訪問するケースが多いのですが、その状況に応じて、リハビリテーションのプログラムを組み立てたり、改修工事の提案をしたりします。
家族へ入院前の生活の様子を確認し、退院後の生活のアドバイスをすることもありますね。
留意点としては、訪問日、訪問した人(職種も)、指導内容を記録しておく必要があります。
ご自宅の見取り図や写真等で、課題を可視化してご家族の方やご本人様とも一緒に動いてみることもよいと思います。
退院後訪問指導
退院後、在宅療養が始まった患者に対して、退院時に指導した内容が適切に実施されているか確認し、在宅生活を継続するために必要な追加指導を行うことが目的になっています。
入院していた病棟の看護師や医師が訪問して状況を確認するのですが、
退院後1か月以内に限り、5回まで算定が可能となっています。
また、退院後利用する訪問看護ステーションや他の医療機関の訪問看護師と同行して指導を行った場合は、訪問看護同行加算(20点)の算定が可能です。これは1回に限る算定となりますが、実際に同行してもらって引継ぎができるので、情報の共有が進むのではないかと思います。
まとめ
高齢者が入院してしまうと、どうしても認知機能や体の機能等が落ちてしまいがちです。
特に、脳血管疾患や大腿骨頸部骨折等で障害が残るケースも少なくありません。
これまでご家族と同居されていても、ほぼ自立して生活をされていた方であれば、なおさら、退院後の生活に対して不安を感じるのは、本人だけではないと思います。
退院した後の生活に必要な福祉用具や生活のためのリハビリテーション、そして何より、在宅で支えてもらえる介護サービスとの連携等、様々な支援があることを知っていただくことに注目された報酬です。このような連携は入院から在宅への橋渡しとなり、これからの生活についても安心して療養を始めていくことができるのではないでしょうか?
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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