【平成30年度診療報酬・介護報酬改定】事務職員のスキルアップ 「縁の下の力持ち ~三位一体の事務の役割~」

長 幸美

アドバイザリー

田んぼに水が入り、夕暮れ時には川面に蛍が舞う時期となりました。

梅雨入りとともに蒸し暑い日が続き、そのような蒸し暑い日には蛍がよく出てくるようです。

 

さて、各病院では新入職員をむかえられたり、部署異動が行われたり、と新たなチャレンジをされる方々が、日常の流れにも慣れ、周りの様子もうかがえるようになった頃ではないでしょうか?

 

今年の4月の診療報酬・介護報酬の改定は、ストラクチャーからアウトカム・・・つまり実績を基にした評価に考え方が大きく変わり、病院の施設基準や実績をしっかりとカウントし統計を取っていくことが必要になってきました。また、「データ加算」により一般病棟だけではなく、中小病院を除き療養型病院も「データ提出」を求められるようになり、介護事業に関してはVISITを活用したリハビリテーションの内容についてもデータで提出することが求められてきています。今後データ提出は当たり前となり、提出ができない医療機関や事業所は運営面でも難しくなってくることも考えられます。

 

今回の改定では、収入の構造だけではなく、資格職の方々の「働き方」についても見直され、常勤換算の考え方、見守りロボットの活用などにより若干緩やかに見直される傾向が出てきています。

このために、管理会計や部門会計の導入を検討される医療機関さまも増えてきているのではないでしょうか?

 

医療機関さまでは医師、看護師をはじめ、様々な資格を持った方々が活躍をされ、日進月歩の医療・介護に対し研鑽を積まれています。この時期多くご相談いただくことの一つに、「職員のスキルアップをどうしたらいいか」「うちの医療機関の言葉遣いについてどうなのだろう」「受付がそっけなくて・・・」というお悩みをお聞きします。

 

そのような中で、私共にご相談いただく内容も変化してきました。

 

今までは「算定漏れがないか見てほしい」という「レセプト診断」といわれる相談が多くを占めていましたが、近年では病棟の再編」「病棟の運用」「連携の仕方など、ご相談の内容も複雑化・多様化してきています。

 

私は今回の改定のコラムの中で、「基本の考え方に戻りましょう」「そもそも・・・何を求められていて、何が必要でしょうか?」「見直しましょう」というところを繰り返し申し上げてきました。

この「そもそも・・・」考えてみると、病院事務の在り方にもつながるところだったように思います。

 

では、そもそも・・・病院の「事務職員」は何を求められているのでしょうか?

 

医療事務は、「診療行為を点数化し、収入にかえる」ということを主な仕事としています。このため、2年に1度改定される「診療点数早見表」を使い、カルテの中身を読み込み、医療行為を判断して点数化するため、基本的な医療行為や看護、リハビリなど、幅広く拾い上げていくことが必要でした。

優秀な医療事務員は、カルテの中からもれなく的確に拾い上げていく技術、それをレセプト(診療報酬明細書)に起こし、保険者毎の請求金額を正しく計算するということが求められていたのです。

しかしながら現在はどうでしょうか?

医事データは「レセコン」に入力し、さらには電子カルテ・オーダーリングシステムの導入により、しっかりと設定をされていれば、8割方の情報は自動的に医事システムに取り込むことができます。十分にシステムを活用する為には日常的にメンテナンスを行う必要がありますが、細かく算定をすることから、しっかりとシステムを管理することに、確実に業務内容が変わってきました。

さらにシステム化されることで、

診療データを積み上げ(データ収集と管理)、

人員配置や自院の診療内容、周辺のニーズ把握から、

病院の施設基準の見直し提案すること(企画・提案)、

提案を実行すること(施設基準の取得)、

その施設基準が維持できるように管理する・・・

というようなこともできるようになり、これらのデータをもとに新たな企画・提案、そして実行する力が求められるようになってきています。

 

労務管理もそうですね。イントラネットの導入により、届け出用紙なども電子化され、ペーパーレスが進んできましたので、そのチェック体制も変わってきました。タイムカードはそのまま電子化され、届け出内容とのチェックも自動化されるようになってきています。

看護師の勤務計算や勤務計画などもシステム化することにより、アナログ時代よりもぐっと業務内容は変わってきています。

半面、診療報酬の改定の中には、様々な勤務形態であっても「常勤換算」することにより施設基準をクリアすることができるようになりましたから、採用計画、採用要件や勤務管理については工夫が必要になってきました。

つまり、「働き方改革」により、採用計画から人事労務管理の在り方まで、根底から変わっているということです。

 

経理課は変わらないか・・・というとそうではなく、お金の出し入れが主な役割だった以前に比べると、「経営管理」というとても大きな、重要な役割が付されてきているように思います。本当に今、その投資をしてよいのか、投資したものが回収できているのか、将来推計はどうなっていくのか・・・というところ・・・今まで以上に予算管理や計画的な投資のための収支の統計などを求められているように思います。

 

私共は、このような変化にも対応ができるようにするためには事務職員が 「三位一体」となり、病院の基盤をしっかりと支えていくことが必要ではないかと考えています。

図1.1

出典:病院新入職員向け 全3回講座「人事労務・医事・会計基礎講座」 第1回セミナー資料より

医事課だから、診療報酬だけ・・・

経理だから、仕訳ができればいいわ・・・

総務(庶務)だから、電話を受け、給与の計算だけをしておけばいいわ・・・

という時代ではなくなってきているのです。

 

このような厳しい状況の今だからこそ、「医事課」「経理課」「総務(人事労務)」の枠を超えて、診療報酬改定を乗り切っていかなければならないのではないかと思います。

 

総合的な視点を持ち、病院に貢献するために、少しだけお隣の仕事、医事課や経理や総務のお仕事を学んでみましょう!

相手を知ることにより、自分自身の今の仕事に生かせるヒントがきっとあるはずです。それを見つけて活かしていくことにより、より頼られる事務職員になれるのではないかと思います。

 

ぜひ私たちと一緒に勉強してみませんか?

 

本当に基本的な内容の「新任職員のためのセミナー」を3回シリーズで企画しています。事務の仕事をお互いに知る意味で活用していただけたらと思います。たくさんの方のご来場をお待ちしております。

 

【佐々木総研グループ主催・セミナーのご案内】

病院新入職員向け 全3回講座 「人事労務・接遇・会計 基礎講座 第2回」

~福岡開催~

https://www.sasakigp.co.jp/ssk/seminar/10008776

~北九州開催~

https://www.sasakigp.co.jp/ssk/seminar/10008783

 

 

経営支援課

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