【平成30年度診療報酬・介護報酬改定】疾患別リハビリテーション

長 幸美

アドバイザリー

10月も半ばになり、コスモスの花が揺れる秋のさわやかな季節となりました。
中医協では2週間に1回の審議の中で、今までの改定の状況整理と将来的な方向性を整理されてきています。その中では、「地域医療構想」の主たる目的である「地域を支える医療と介護」「地域を繋ぐ医療と介護」が中心になってきているように思います。

その中でも今回は、疾患別リハビリテーションを考えてみましょう。
疾患別リハビリテーションの役割としては、次の表のように平成23年12月に改めて整理されています。

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出典:20170913中医協資料「個別事項(その1)疾患別リハビリテーション」より

発症後、早期診断から治療開始、同時に身体機能の回復をめざし、集中的なリハビリテーションを開始することが予後の状態考えると重要で、安定化した後は維持期・生活期のリハビリテーションとして「地域の中で暮らし続ける」ことを支えていこうという考え方です。

そもそも「保険診療」と「介護保険」の考え方を整理すると・・・
保険診療」は健康保険法等の各法に基づく、保険者と保険医療機関との間の「公法上の契約」に基づいて行った「治療」に対し療養の給付及び費用の請求を行うことが定められています。
かたや「介護保険」は、健康保険と同じように国民全員が40歳になった月から加入して保険料金を支払い、介護が必要な人が適切な介護サービスを受けられるように支える仕組みで、「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等」により要介護状態となった方に対し、これらの者が「尊厳を保持」しつつ、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支えることが必要となってきます。

このため、医療機関において提供される「通所リハビリテーション(デイケア)」と介護保険で提供される「通所介護(デイサービス)」では目的が異なってくることになります。それと同時に、事業所を利用する方も異なってくると考えられます。

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出典:20170913中医協資料「個別事項(その1)疾患別リハビリテーション」より

さあ、皆さんの事業所ではどのようなサービスを提供され、どのような方が利用されているでしょうか?

ある程度回復して「今の機能をできるだけ維持する」ための維持期のリハビリテーションについては、「予防」という考え方になり、医療保険では扱えなくなります。このため、前回の改定でも「介護保険への移行を進めていくため」にどうするのかを考えることへの評価が「目標管理設定等支援・管理料」として評価され、更に「介護保険リハビリテーション移行支援料」、「介護支援連携指導料」として評価がついてきています。
こういった方向性を考えると・・・先ほどの「そもそもどのようなサービス提供を求められているのか」ということが重要になってくることをご理解いただけるのではないでしょうか。

「地域医療構想」、「地域包括ケアシステム」を考えていく中では、「地域の中で、地域に住まう方々を支える」ことが求められてきます。
その医療保険で行われているリハビリテーションから、介護保険のサービスである「通所リハビリテーション(デイケア)」「通所介護(デイサービス)」を効果的に、シームレスに移行していくためには、情報共有が必要になってきます。それぞれのサービスの中でこの情報共有がスムーズにいくと、利用される方々の満足度も上がるサービス提供ができるのではないでしょうか・・・

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出典:20170913中医協資料「個別事項(その1)疾患別リハビリテーション」より

 

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出典:20170913中医協資料「個別事項(その1)疾患別リハビリテーション」より

 

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出典:20170913中医協資料「個別事項(その1)疾患別リハビリテーション」より

改定前の今だからこそ、自院の機能、利用者さまの状況・状態をはじめニーズをしっかりと分析し、どのような立ち位置でどのようなサービス提供をしていくのか、見直してみる必要があると考えます。

 

<参考資料>
中医協 総―1「個別事項(その1)疾患別リハビリテーション 平成29年9月13日

 

経営支援課

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