医療と介護総合確保推進法案とは

佐々木総研

アドバイザリー

平成26年5月15日に、「医療と介護の総合確保推進法案」が、衆議院を通過し、参議院に送られました。6月中には、参議院でも可決される予定になっています。この法案は、来年の介護保険法改正の部分が多く含まれています。
来年の介護保険法改正において、介護保険利用者や第1号被保険者の方に関係する部分は下記の通りです。

① 予防給付の見直しと地域支援事業の充実
これは、通所介護及び訪問介護において、要支援1・2の方へのサービスを介護保険から切り離し、自治体の事業として行うようにし、地域支援事業として、NPO・ボランティア、民間事業等を通じて、通所介護、訪問介護に準じたサービスを提供してもらい、自治体が支援すると言うものです。ただし、現在、通所介護、訪問介護のサービスを受けている要支援の方が、いきなり介護サービスを利用できなくなると言うものではありません。3年程度の経過措置期間が設けられる予定です。
② 特別養護老人ホームの重点化
平成27年4月以降、特別養護老人ホームへ入居できる方を、原則、要介護3以上の方に限定しようと言うものです。これは、特別養護老人ホームの入居待機者が多くいるため、要介護度の高い方に入所していただくためです。現在、入居されている要介護1・2の方は、継続して入居できます。また、要介護1・2でも特定の事情のある方は入居できるようになっています。
③ 所得者の1号保険料の軽減強化
所得により段階が付けられており、特例4段階以下の方に関して、保険料を現在より軽減させるものです。住民税非課税世帯の方が主な対象者です。
④一定以上所得者の利用者負担の見直し
一定以上の所得がある方の、介護保険利用料が1割から2割になります。単身で年金収入のみの場合、280万円以上が対象の予定です。ただし、自己負担限度額がありますので、単純に負担が倍になると言う訳ではありません。
⑤補足給付の見直し
一定超の預貯金(単身1,000万円超、夫婦世帯で2,000万円超程度)や配偶者の所得(世帯分離後は夫婦両方の所得)、非課税年金(遺族年金・傷害年金)を勘案した上で、介護保険料の金額が決まります。

③と⑤は、介護保険財政が厳しいための施策ですが、今後、医療保険と同等の負担割合になる可能性もあります。
いずれも、現時点での案ですので、参議院での審議や施行予定の平成27年4月までに、変更点等がでる場合もありますので、新聞やテレビ・ラジオ等で情報に注意が必要です。

コンサルティング部 4課 医業経営コンサルタント

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