【医療介護あれこれ】在宅医療「特別訪問看護指示」

長 幸美

アドバイザリー

皆さん、「特別訪問看護指示書」って聞いたことありますか?
今日はこの「特別訪問看護指示書」について学んでいきましょう!

訪問看護ステーションが訪問看護を行う場合は、「主治医」による指示が必要になります。これが「訪問看護指示書」で、他に「特別訪問看護指示書」「在宅患者訪問点滴注射指示書」の3種類があります。

【訪問看護指示書の種類】
■訪問看護指示書 月1回 300点
訪問看護指示とは、在宅での療養を行っている通院困難な患者の病状に基づいて在宅医療を提供するために主治医が訪問看護ステーションにだす指示のことをいいます。
主治医は診療に基づき、指示書を作成します。指示書は有効期間を記載しますが、6か月以内に限られています。算定は月に1回算定できますが、複数のステーションに指示書を記載しても、1回の算定となります。

■特別訪問看護指示書 月1回 +100点加算
患者の病状等により、一時的に頻回の訪問看護を必要とする場合に出されるものです。
具体的に言うと、急性増悪、終末期、退院直後等により、主治医が週4回以上の訪問を必要とすると認めた場合です。通常は月に1回特別訪問看護指示」を出すことが認められていますが、「気管カニューレ使用」や「真皮を超える褥瘡」などの場合については月に2回指示を出すことができます。
この「特別訪問看護指示書」の有効期間は、診療日から14日間とされています。
また、特別訪問看護指示は診療が前提になっていますので、診療した日にしか出すことはできません。

■在宅患者訪問点滴注射指示書 週1回 +100点加算
これは、診察に基づき、医師が週3回以上の点滴注射が必要な状況にあり、管理指導を行った時に出すものです。指示の有効期間は7日以内です。この場合、患者の状態により2回のみの点滴となった場合は算定できません。

このほか、「介護職員等喀痰吸引等指示料 3月に1回、240点」がありますが、これはまた別の機会にお話ししたいと思います。

【特別訪問看護指示書の凄いところ】
この「特別訪問看護指示書」が出された場合、週4回以上の訪問看護や訪問診療ができるだけではなく、1日に複数回の訪問看護2か所の訪問看護ステーションのサービスを併用することができます。その他、複数名の訪問看護が可能になったり、長時間の訪問看護が可能になったり、グループホームや特定施設など、看護師の配置がある施設への訪問看護も可能になります。また、この間介護保険での訪問看護から医療保険での訪問看護に保険が変わりますので、介護サービスも充実させることができます。

【QAより】
■訪問看護指示は6か月間で出している場合、特別訪問看護指示書のみを出すことはできるでしょうか? 主治医以外の医療機関の医師が記載できますか?
⇒訪問看護指示書は利用者1人に対して一人の医師から交付されるものであり、よって特別訪問看護指示書も訪問看護指示書交付の医師から交付されるものである。(平成30年4月版_訪問看護業務の手引きより)
このため主治医に連絡をして、主治医から特別訪問看護指示を出してもらうことが必要になると思います。

また、この訪問看護指示書は、訪問看護ステーションに向けた指示になります。
ほかの医療機関等への指示である場合、「診療情報提供書」に該当しますので、注意が必要です。仮に同じ医療機関内の看護師に訪問看護指示書を書いても請求することはできません。特別訪問看護指示書は、訪問看護指示書と似ていますが、適用期間が14日であり、急性増悪時など、様々なサポートが可能になるものです。有効に活用して、在宅療養・在宅生活の助けとなるものだと思います。
また、訪問看護指示書の加算として設定されていますので、特別訪問看護指示書が単独で動くこと・・・つまり、特別訪問看護指示書のみをだすことはありません。
注意していきましょう。

<参考資料>
■診療点数早見表(医学通信社)_在宅医療の「通則」「C005在宅時訪問看護・指導料」「007 訪問看護指示料」など
■医科点数表の解釈(社会保険研究所)_在宅医療
■訪問看護業務の手引き(社会保険研究所)
■厚労省「疑義解釈通知」(Q&A)より

医業経営支援課

制作者の直近の記事

コラム一覧に戻る
お問い合わせ

PAGE TOP