【令和2年度診療報酬改定】常勤配置と専従要件について
長 幸美
アドバイザリー施設基準を考える上で「常勤配置」と「専従要件」がネックになり、施設基準の取得をあきらめるケースがあります。しかし、今回「働き方改革」の考え方により、常勤換算と専従要件について少し枠が広がってきました。整理していきましょう。
まずは一つ目の「常勤配置」についてです。
「常勤配置」とは読んで字のごとく、常勤の職員を配置することが要件になっているものです。前回の改定でも、リハビリテーションにかかるリハビリ専門職や看護師については、「週3日以上かつ週24時間以上の勤務」を行っている複数の非常勤職員の組み合わせによる「常勤換算」でも配置が可能とされてきました。
これが、今回の改定では、「週3日以上かつ週22時間以上の勤務」するものを組み合わせて、常勤換算してもよいと、緩和されました。
「常勤換算」とは、1か月4週間を基本として、非常勤職員の勤務時間をすべて足し合わせて、常勤職員何人分かを計算することを言います。
この場合の足し合わせる条件が、「週3日以上かつ22時間以上」の状態的に勤務する者ということになります。
【事例】
・就業規則・・・週40時間
・非常勤職員の就業パターン
A:1日5時間 週4日・・・20時間
B:1日6時間 週4日・・・24時間
C:1日4.5時間 週5日・・・22.5時間
D:1日7.5時間 週3日・・・22.5時間
E:1日6時間 週3日・・・18時間
この事例の場合、単純に常勤換算すると、20+24+22.5+22.5+18=107時間 となります。就業規則上の勤務時間数は40時間ですので、107÷40=2.675となります
この中で、仮に「常勤換算の要件」が定められている場合、「週3回22時間以上の勤務」となりますので、B・C・Dの3名が対象となり、(24+22.5+22.5)÷4=1.725名となります。
改定前までのルールでは、Bのみの対象ですので、24÷40=0.6名にしかならなかったので、大幅に緩和されたことになります。
注意事項としては、この場合人員の一部のみとされている場合が多いので、「常勤換算でよいのは施設基準の必要人の中で、何名可能なのか」ということも、しっかりと確認する必要があることです。
今回、「もしや・・・と思われる項目」がある場合、若しくは「常勤専従の要件があるから施設基準は無理!」と思われていた項目は、もう一度、告示及び通知文で内容をしっかりと確認しましょう。
つぎに、二つめの「専従要件」についてみていきましょう。
「専従」とは、「専らその業務に従事していること」とされ、それ以外の業務は基本認められていませんでした。しかし、今回の改定では、「専従」とされた職員であっても、他の業務を行うことができるようになっているものが増えています。これも「告示」「通知」で確認が必要です。
【事例】
常勤専従要件がある施設基準の「常勤専従の方が産休・育休に入った」場合など、これまでは新たな「常勤専従」の方を探す必要がありました。しかし、今回の改定により、「非常勤職員の採用」でよくなれば、これまでよりも応募してくださる方が広がるかもしれません。
このように、「常勤専従」の要件をしっかりと理解することにより、募集のかけ方、採用の仕方が変わってくるかもしれません。医事課だけではなく、是非採用担当の方と一緒にこの「常勤配置」「専従要件」の考え方を整理されることをお勧めします。
<参考資料>
〇厚労省:令和2年度診療報酬改定説明会資料等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352_00001.html
※「03 働き方改革の推進」をご参照ください。
〇厚労省:令和2年度診療報酬改定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00027.html
※「告示」「通知」をご確認ください。
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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