【令和2年度診療報酬改定】リハビリテーションについて
長 幸美
アドバイザリー今回は「リハビリテーションにかかる見直し」についてみていきたいと思います。
リハビリテーションは、急性期治療により身体機能が落ちたものに対し、機能回復を目的に行われます。次のスライドのように、医療保険で行うものと、介護保険で行うものとに整理されています。(前回改定時)
(出典:令和2年度診療報酬改定説明会資料「個別事項」より)
【回復期リハビリテーション病棟入院料の見直し】
※本コラム「令和2年度診療報酬改定の概要⑧「入院医療」をご参照ください。
◆アウトカム評価については、入院料1.3について、充実を図る意味で、指標を引き上げとなりました。
前回改定でも、医療のリハビリテーションは結果を求める・・・というような内容があったと思います。今回も、さらなる改善が求められていることになります。
◆また、入院料1について管理栄養士の専任常勤配置が要件化され、リハビリ計画書の栄養項目については記載が必須とされました。
入院料2~6については、管理栄養士の配置が望ましく、計画書の栄養項目についても記載が望ましいとされています。
【疾患別リハビリテーション料の見直し】
◆「リハビリテーション実施計画書」作成の要件化
急性期から回復期、維持期・生活期まで、一貫したリハビリテーションの提供を進めるとともに、疾患別リハビリテーションにかかる事務手続きを簡素化するため、通則を見直し。
今回リハビリテーションの実施計画書は、疾患別リハビリテーションの開始後1週間以内、遅くとも14日以内に作成することと明示されました。また、計画書作成前は「医師による具体的指示下で実施される場合等に算定が可能と明示されました。
◆呼吸器リハビリテーション料及び難病患者リハビリテーション料
実施者に「言語聴覚士」を追加されました。これにより、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のいずれかが、実施することができるようになります。
◆脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅱ)の施設基準に、言語聴覚療法のみを実施する場合の規定ができました。
主な要件は、①専任の常勤医師が1名以上、②言語聴覚士(常勤専従)が2名以上勤務、等です。なお、②の常勤専従については、週3日以上22時間以上の勤務者を組み合わせて常勤換算することができます。
【リハビリテーションにかかる業務の効率化合理化】
◆外来リハビリテーション診療料については、カンファレンスの要件が「リハビリテーションスタッフからの報告を受けることで、リハビリ効果や進捗状況を確認し診療録に記載することでもよいとされました。
◆維持期リハビリテーションの取扱いの明確化
外来患者で、要介護被保険者等がある場合の維持期のリハビリテーションは平成31年3月31日ですでに経過措置が終了しています。
再度ご確認ください。
【リハビリテーションの対象患者にかかる見直し】
◆がん患者リハビリテーション料の算定対象について
これまでは、がんの種別により治療方法が制限されていましたが、今回の改定において、がんの種別による規定が削除されました。さらに、治療方法についても以下の通り、整理されています。
また、従前の「ク」緩和ケアを目的とした治療を行っている進行がんまたは末期がんの患者であって、症状の増悪により入院している間に在宅復帰を目的としたリハビリテーションが必要なもの、という要件は残っていますので、ご留意ください。
【リンパ浮腫指導管理料及びリンパ浮腫複合的治療料の見直し】
対象者が、「鼠径部、骨盤部若しくは腋窩部のリンパ節郭清を伴う悪性腫瘍に対する手術を行った患者又は原発性リンパ浮腫と確定診断された患者」という風に変更されました。
また、リンパ浮腫複合的治療料「1」の「重症者の場合」が、病気分類Ⅱ期以降の患者に限定されました。
【摂食機能療法の見直し】
接触機能障害を有する患者に対し、多職種チームによる効果的な介入が推進されるように、経口摂取回復促進加算を見直されました。
施設基準として、摂食嚥下支援チームによるかかわりについて評価されたものとなっています。
(出典:令和2年度診療報酬改定説明会資料「個別事項」より)
前回の改定に引き続き、今回も、「口から食べる」ということが重要視されているように思います。また、地域の中で、暮らし続けることに対する支援を、医療機関も考えてほしいというメッセージのようにも思います。
<参考資料>
〇令和2年度診療報酬改定説明会資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352_00001.html
※説明会の資料とともに、YouTubeもご覧ください!
〇厚労省:令和2年度診療報酬改定「告示」「通知」等
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00027.html
※佐々木総研では、令和2年度診療報酬改定の特設ページを設けて、診療報酬改定にかかる検討会資料等を検索しやすくしています。こちらもぜひ合わせてご活用ください。
https://www.sasakigp.co.jp/ssk/topics/10013069
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
最新の投稿
- 2024年12月4日接遇レッスン接遇レッスン~心に残る応対できていますか?~
- 2024年11月5日医療介護あれこれQ&Aより~医師国保がいい?それとも協会けんぽ?~
- 2024年10月21日医療介護あれこれ接遇レッスン~ユマニチュード導入のSTEP~
- 2024年10月18日医療事務基礎講座介護保険3施設~特養・老健・介護医療院どう違うの?