【医療介護あれこれ】入院医療(その4)について
長 幸美
アドバイザリー季節の移り変わりは早いもので、二十四節気では「小満」のころを迎え、七十二候では「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」を迎えました。皐月や芍薬も咲いてとても良い季節ですね。
さて、5月17日に中医協で「回復期機能」について協議が行われました。
「回復期機能」といっても、「回復期リハビリテーション病棟」だけではなく、「地域包括ケア病床」も含めた広い意味での「回復期機能」となり、目的は「在宅への移行」ということになります。
出典:中医協資料「入院医療(その4)」20170517
歴史的な背景をみてみると、平成16年度診療報酬改定において「亜急性期入院医療管理料」が創設され、「急性期治療を経過した患者、在宅・介護施設等からの患者であって症状の急性増悪した患者に対して、在宅復帰支援機能を有し、効率的かつ密度の高い医療を提供する」とされました。
「地域包括ケア病床」は、平成26年度診療報酬改定医において、新たに創設されたもので、看護配置(13対1)、専従の理学療法士等、専任の在宅復帰支援担当者を置き、全面的に「自宅に帰る」ことに対し、サポートしていくことが求められています。
この為に必要な役割として、
①急性期からの受け入れ
②在宅・生活復帰支援
③緊急時の受け入れ
・・・の三つが挙げられています。また、昨年の診療報酬改定で、手術と麻酔が包括範囲から外れることになり、さらに、超急性期(500床以上や集中治療室等を持つ保険医療機関)においては1病棟までとされるなど、地域の中での役割分担を意識した改正が行われています。
出典:中医協資料「入院医療(その4)」20170517
また、在宅復帰に関しては、8割から9割の方が在宅へ戻られていることが分かり、患者さんの流れからは、自院の急性期病床から入院される事例が多く、自宅へ退院の方が7割程度あり、患者さんが循環している様子が分かります。
リハビリテーションは、大部分が脳血管疾患等リハビリと運動器リハビリであり、脳血管疾患リハビリの中では、廃用症候群のリハビリが半数を占めるという結果が分かります。
これらから、今後の課題としては、自院だけではなく地域の「ポストアキュート」「サブアキュート」をどう支えていくのか、ということが課題と言えそうです。
出典:中医協資料「入院医療(その4)」20170517
また、回復期のリハビリテーション病棟では、これまで、対象疾患の見直しや休日のリハビリ提供について評価がつけられてきました。前回の改定では、体制強化加算の要件を新設し、さらにADLの改善に基づくアウトカム評価を導入し、結果的に在院日数が短くなるということが行われています。
出典:中医協資料「入院医療(その4)」20170517
地域包括ケア病床も回復期リハビリテーション病棟はどちらも「在宅への支援」が病棟の目的になっていますが、それぞれの病棟の特徴を踏まえ、包括の範囲も以下のように違います。
出典:中医協資料「入院医療(その4)」20170517
自院を利用される患者さま及び地域の特徴を踏まえて、しっかりと評価していく必要があろうかと思います。
また、どちらの病棟も「リハビリテーション」は非常に重要な要素となっています。
「リハビリテーション」は「急性期のリハビリ」と「維持期のリハビリ」「生活期のリハビリ」に分け、医療から介護保険への移行が検討されています。
今後は、リハビリテーションは形を変えていくことになると思います。
医療機関であっても、次の資料のように、みなしで併設事業を実施されていることも多くなっています。医療機関に来てくれた患者を診療する・・・という時代が終わりつつあるのかもしれません。
出典:中医協資料「入院医療(その4)」20170517
「回復期機能」を考える中で重要なことは、「家で過ごしたい」という利用者の想いをくみ取り、医療者としてどのように支えていくのかということではないかと思います。
この為に、リハビリの在り方を検討していく必要があるのだと考え、どのようなことを必要とされているのか、地域の中での自院の立ち位置も含めて検討する必要があると思いました。
参考までに、BI及びFIMの評価について、添付します。
そして、これらの評価については、看護師だけ、リハビリ室だけ・・・ではなく、医師も事務職も含めて、全職員で検討をしていく必要があることをお伝えしたいと思います。
<参考資料>
○入院医療(その4)20170517 中医協資料
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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