賃上げ促進税制の見直し:中小企業の恩恵と大企業の注意点

古永 葵

税務・会計

本コラムの内容は、執筆時点での法令等に基づいています。また、本記事に関する個別のお問い合わせは承っておりませんのでご了承ください。

2025年12月、令和8年度税制改正大綱が閣議決定され、大企業向けの賃上げ促進税制は2026年3月31日で廃止されることが決まりました。一方で、中小企業に対しては、引き続き賃上げに対する税制優遇が継続されます。これは、中小企業が直面する深刻な人手不足と物価高騰への対応のためです。

1. 企業規模別の改正内容

  • 大企業(資本金10億円以上かつ従業員1,000名以上など):2026年3月で制度廃止。
  • 中堅企業(資本金1億円超かつ従業員2,000名以下):2027年3月で廃止予定。賃上げ基準は前年より4%増へ引き上げ。
  • 中小企業(資本金1億円以下または従業員1,000人以下):改正後も継続。賃上げ促進税制の継続的な支援が確保されました。

2. 中小企業向けの税額控除の仕組み
中小企業の場合、給与増加率に応じた以下の税額控除が適用可能です。

基本控除
・給与が前年比で1.5%以上増加 → 増加額の15%控除
・2.5%以上増加 → 増加額の30%控除

上乗せ控除要件
プラチナくるみん/えるぼし認定等の取得 → +5%
最大控除率は35%(30%+5%)

さらに、控除しきれなかった場合の残額については最大5年間の繰越控除が可能となり、中小企業にとってさらに有利な制度となっています。

今回の税制改正は、「大企業は縮小・中小企業には手厚く」という構図が鮮明です。中小企業にとっては好機ですが、最大限のメリットを享受するためには、数値管理・教育投資・制度認定などを一体的に戦略に組み込んでいくことが重要です。一方で大・中堅企業では、廃止に伴う影響判断と代替策の検討が急務と言えるでしょう。

出典:
財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要」
経済産業省 中小企業庁「中小企業向け賃上げ促進税制ご利用ガイドブック」

著者紹介

古永 葵
税務会計コンサルティング部 税務会計1課

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