専門家に聞いてみよう!~アナログ作業のデジタル化の極意は?~

長 幸美

医療介護あれこれ

本コラムの内容は、執筆時点での法令等に基づいています。また、本記事に関する個別のお問い合わせは承っておりませんのでご了承ください。

皆さんから「DX、DXって言われるけどパソコンは苦手なんだよね~~」という声をよく耳にします。
医療機関も「マイナ保険証」に始まり手続きのオンライン化や電子カルテ共有システム等、徐々に様々な業務がデジタル化されることが予測されます。

デジタル化といっても、何をしたらいいのか・・・という声もよく耳にします。
そんな中で、福岡市内で「バックオフィスDEXPO福岡’25」が開催され、弊社からも出展、セミナーも開催させていただきました。その時に感じたことを、このコラムでも何度か登場いただいている専門家、綾部マネジャーに聞いてみたいと思います。

バックオフィスDEXPO福岡’25

「バックオフィスDEXPO福岡’25」で出展されていましたね。お疲れ様でした。
このイベントはどのようなイベントですか?

企業内の業務効率化・DX推進に特化した展示会で、昨年に引き続き、出展させてもらいました。
この中では、タイトル通り、「バックオフィス」といわれる管理部門の業務効率化に視点を当てていまして、今回、「営業管理」や「経営会議」等がより省力化しつつも実りの多い会議になるように、ご支援した経験をもとにイベントに臨みました。

当日「経営会議の時間短縮をご支援しています」という声掛けに、多くの方が足を止めておられましたね。

当社もそうですが、様々な企業様にとってまだまだ多くのアナログな手作業が残っています。
それは医療機関も同様です。
例えば、医療機関に寄せて話をすると、医薬品や医療材料の発注から納品そして請求書を発行して支払いをするまでを考えてみても、発注書をパソコンで作成したのち紙に印刷をしてFaxする、納品書を紙で受取り確認したものをパソコンに入力する、さらに紙で請求書をもらって納品書と突き合わせをして、電卓をたたいて金額を確認する等々多岐にわたります。
「そうそう、うちもそうしてるよ」という医療機関様も多いのではないでしょうか?

「デジタル化」の落とし穴

私が訪問している医療機関も、電子メールで請求書は送られてきているものの、その請求書を印刷して計算していたり、税理士に渡したりしている医療機関もありますね。

そこなんですよ。多くの医療機関では、デジタル化やペーパーレスと称して、手作業で印刷したりスキャンしたり、Excelに入力して何となく「省力化」したような気になっている場合も多く、実際には手間が増えているということがおきてしまっています。

忙しい日常の中で、パソコンを使用しているけれど、どのくらいの手作業が発生しているか実際には把握できていません。
手作業の日報作成からその集計、売上管理や勤務時間数の管理、必要な物品や交通費等の経費の管理等、様々な報告制度を活用しつつ、実はアナログな管理や情報提供をしている状況が残っています。Excelや勤務管理システム、売上管理システム等のそれぞれのシステムに入力されているデジタルデータをわざわざ印刷し、アナログに集計するという大変な時間と作業の手間をかけているケースが意外と多いのです。
この為、経営会議や営業管理はしているけれど、実際には2か月前の情報を報告しているだけだということもざらにあります。

集計に時間がかかるからということですね。2か月前の話をされても状況は変わっていますよね。

そうですね。実際には収益が上がらない等の何らかの問題があり早く対応しないといけないことがあったとしても、2か月もたっていると、今更という雰囲気になったり、後手に回ってなかなか改善できなかったりもします。

例えば、医療機関に限って考えてみても、医薬品や医療材料の発注から納品、請求書をもらって支払いをするまでの間、どのようにされているでしょうか?
逆に患者への請求書を発行する立場としてみた場合、診療報酬の計算をした後、いくつかのサービス提供や月まとめの請求書発行、銀行での引落データの作成等、どのようにされているのでしょうか?

ほとんどの場合が、紙でもらったものをExcelに入れたり、また集計し直したものを紙に出し直して渡したりしているような気がしますが・・・

そうなのです。手作業が多いために時間がかかり、リアルタイムの評価が出来ない場合があるのです。
つまり「紙(アナログ)」と「データ作成(デジタル)」を行ったり来たりしているのが現状だと思うのですが、その「紙(アナログ)」で出す手間を省き、作成したデジタルデータをそのまま活用できれば、事務作業は大幅に省力化でき、時間短縮できると考えます。

そうなると革命的ですね!
人の手で入力するとなると、どうしても入力間違いや漏れなどが起きますものね

医療機関の収入を把握する

皆さんの医療機関の中には、電子カルテやレセプトコンピューターといわれるもので、電子化された情報がたくさんあります。これらのデジタル情報を引き出して加工することができれば、院内で行われる会議資料の作成時間が短縮されるかもしれませんし、視覚的にわかりやすい加工ができれば、会議でも過去の実績の報告だけではなく「リアルタイムに課題解決」ができるかもしれません。

例えば、医療機関の収入等の実績把握はどうされているでしょうか?

診療報酬の請求実績等はデジタルデータで把握されていますが、未請求が何件・金額はいくらあって、返戻・査定等がどのくらいあるか、請求した診療報酬が確実に入金されているか把握されていない医療機関もありますね。

そのようなものも、デジタル化されたデータから、システムを活用して把握することができるかもしれません。医療機関のシステムに応じて考えていく必要があります。

診療報酬・施設基準に必要な実績の集計をデジタル化する

診療報酬の施設基準も、実績要件が多くなり、医事職員はその実績要件を追いかけていく必要が出てきています。電子カルテやレセコンからのデータも加工できるのでしょうか?

そうですね。どのような数字が必要なのか、それぞれの施設基準の内容や電子カルテやレセコンから掃き出しができるデータ形式をみながら、その医療機関に応じて「リアルタイムに実績が評価できる」ような仕組みを、今あるツールをもとに院内でも活用できるように提案できればと思っています。

例えばこんなことができるのではないかと思います。
皆さんが手作業でデジタルデータを別の形に手で集計し直しているものがあれば、それはデジタル作業に変えることができるかもしれません。
また、現状で新患・初診料及び再診料算定回数や一定の算定回数を集計しているものはありませんか?
それはまさしく、デジタルデータを加工することで今行っている手作業は減らせるかもしれません。

このようなことで、医療専門職の方が数字を集計するのに追われているのであれば、それはデジタル処理をすることにより軽減できるかもしれません。

なるほど。私が以前勤務していた時は新規入院・退院患者数を医師別・病棟別に集計し、平均在院日数や医師の稼働状況を毎日報告していましたが、それらも自動化できそうですね。
さらに言えば、複数事業所の請求書の取りまとめなど自動化できるところがありそうですね。

電子カルテやレセコンからCSV等の形で出力することができれば、可能だと思います。
手作業で行っていること、特にデジタルデータを一定のルールに基づいて手作業でまとめ直しているようなものは、DX化に適しているかもしれません。

アナログ作業のデジタル化への極意は?

これまで「当たり前」だと思ってきたこと、「めんどくさいな」と思いつつも「昔からやっているし、仕方ないかな」と思いつつ実施していたことについて、見直していくことがデジタル化への第一歩になると思います。

デジタル化するための「手作業」を意識してみる

最後に、アナログ作業をデジタル化するうえでのポイントを教えてください。

まずはそれぞれの作業フローを洗い出してみてください。

例えば、医薬品や医療材料の購入であれば、
納品書の作成 ⇒ 納品・納品書の確認 ⇒ 請求書作成 ⇒ 請求書・納品書確認 ⇒ 支払い
(業者)      (部署の担当者)     (業者)     (担当者)        (経理)

というような流れが考えられます。整理されているように見えますが、これらを「デジタル」と「アナログ」で考えてみるとどうでしょうか?

納品書の作成 ⇒ 納品・納品書の確認 ⇒ 請求書作成 ⇒ 請求書・納品書確認 ⇒ 支払い
(業者)      (部署の担当者)     (業者)     (担当者)        (経理)
(デジタル)    (アナログ/紙)   (デジタル⇒紙)  (アナログ/紙)   (紙⇒デジタル)

このように「デジタル」と「アナログ」をいったり来たりしています。
実は、この「紙」に印刷して渡すと、そこで次の作業に移るときのシステム入力が必要になります。
何回も同じデータをパソコンのそれぞれのExcelsheet等に入力するという同じような手作業が発生しているかもしれないわけです。この部分を「デジタルデータで渡す」ことができれば、何度も行っていた入力作業は省力化できるかもしれません。
つまり、「デジタル化」するために実施している手作業を意識して洗い出してみることにポイントがあると思っています。

過去の当たり前は、現代では無駄なことかもしれない!

先ほどの発注から納品そして支払いまでの流れでも示した通り、バックオフィスの作業というのは、
デジタル⇒アナログ(紙)⇒デジタルと行ったり来たりするところに手作業が増え、業務負担が大きくなってきているところがある、ということがご理解いただけたのではないかと思います。
我々は、こういった「デジタル化の落とし穴」をなくしていくことで、事務作業の軽減を図ることができればと考えています。

今回、発注作業~支払いまでの作業を例として取り上げましたが、その他にも、給与計算や請求書発行業務、予約管理や相談業務の共有化など、「デジタル化」しようとして実は手作業が増えている作業項目はたくさんあるのではないでしょうか?
ぜひこれを機会に、見直しされることをお勧めします。

そうですね。今日はありがとうございました。
見直しに当たっては、弊社の専門チームでもお手伝いさせていただくことができますので、お気軽にご連絡いただければと思います。

                         話し手:ICT活用推進課マネジャー 綾部一雄
                         聴き手:医業コンサル課 長幸美

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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