ハイプを超えてクラウドAIとローカルLLMの現実的な活用法

綾部 一雄

DX推進

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ガートナーが発表した「クラウドとAIのハイプ・サイクル2025」では、AIエージェントなどが「過度な期待のピーク」に位置づけられています。ニュースや市場の熱気から「すぐにでも使える万能ツール」と捉えがちですが、実際の業務適用では「期待と現実のギャップ」が生じる場面も少なくありません。

出典:Gartner (2025年8月)

一方で、クラウドだけでなく、自社環境で動作させるローカルLLMも選択肢として広がりつつあります。ただし重要なのは、「どの技術が最先端か」ではなく、「自社で何をAIに任せたいのか」を明確にすることです。議事録の整理、画像データからの情報抽出、社内ナレッジの検索など、具体的な業務課題に照らして検証を行い、確かに使えると判断できたものから導入する。この一歩ずつの積み重ねが、実際の成果につながります。

必要なのは、業務のどの部分にAIを組み込むと効果があるかを見極める視点です。そのためには小規模な実験や社内テストを通じて、「実際に役に立つか」を確かめるプロセスが欠かせません。過度な期待に流されず、確かな実証によって一歩ずつ取り入れることが、最も健全なAI戦略だと考えます。

クラウドAIが持つスケーラビリティと、ローカルLLMが提供する独立性。それぞれの特徴を理解し、目的に応じて選び分ける。その柔軟さこそが、これからのAI活用の肝になるでしょう。

用語解説

ハイプ・サイクル
 新技術が「期待のピーク」から「幻滅」を経て「成熟」に至るまでの道筋を示すフレームワーク。

AIエージェント
 人の指示を待たずにタスクを判断・実行できるAI。複数を組み合わせる仕組みも登場している。

ローカルLLM
 クラウドではなく、自社PCやサーバーで動作させる大規模言語モデル。データを外部に出さず利用できる点が特徴。

2025年10月9日

著者紹介

綾部 一雄
DX推進支援部 ICT活用推進課 マネジャー

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