【医療介護あれこれ】在宅医療シリーズ③~含まれる費用と加算の算定~
長 幸美
アドバイザリー在宅時医学総合管理料/施設入居時医学総合管理料の三回目です。
今回は、この点数の中に含まれる費用と算定上のルール、そして最後に算定できる加算についてみていきましょう。
【在医総管/施設総管に含まれる費用】
在宅医療では医療処置に必要な物品はほとんどがこの費用の中に含まれています。特定保険医療材料等として別に算定できる医療材料もありますので、確認が必要です。
■在医総管/施設総管に含まれるもの
・衛生材料代(ガーゼ、絆創膏、など)
・おむつ交換や吸引等の処置時に使用する手袋代
・ウロバック代
・骨折やねんざの際に使用するサポーターや三角巾
・医療機関が提供する在宅医療で使用する衛生材料等(在宅医療の部で規定された特定保険医療材料を除く)
・保険適用となっていない治療方法(先生ん医療を除く)⇒先端医療と思われるがわかりません。
・在宅療養者の電話診療、医療相談
・食事のとろみ剤やフレーバーの費用⇒これは省く方が良いと思う
■患者が費用負担する物品等
・おむつ代、尿取りパット料
・証明書代
・在宅医療にかかわる交通費
・薬剤の容器代
・インフルエンザ等の予防接種
・他院から借りたフィルムの返却時の郵送代
・薬局における患家への調剤した医薬品の持参料及び郵送代
・衛生材料又は保険医療材料の持参料及び郵送代
・プラスチック製買い物袋の費用
・画像・動画情報の提供にかかる費用
・公的な手続きなどの代行にかかる費用
■在医総管/施設総管の中に含まれる診療報酬等
<医学管理等>
・特定疾患療養管理料
・小児特定疾患カウンセリング料 ・小児科療養指導料
・てんかん指導料 ・難病外来指導管理料
・皮膚科特定疾患指導管理料 ・小児悪性腫瘍患者指導管理料
・糖尿病透析予防指導管理料 ・生活習慣病管理料
<在宅医療>
・訪問看護指示料の衛生材料等提供加算 ・在宅寝たきり患者処置指導管理料
<投薬>
・投薬費用(処方箋料・外来受診時の投薬費用を含む)
<処置>
・創傷処置 ・爪甲除去 ・穿刺排膿後薬液注入
・喀痰吸引 ・干渉低周波去痰器による喀痰排出
・ストーマ処置 ・皮膚科軟膏処置
・膀胱洗浄 ・後部尿道洗浄 ・留置カテーテル設置 ・導尿
・介達けん引 ・矯正固定 ・変形機械矯正術
・消炎鎮痛等処置 ・腰部又は胸部固定帯固定
・低出力レーザー照射 ・肛門処置 ・鼻腔栄養
【算定上のルール】
この管理料を算定するためのルールがあります。
① 一人の患者につき、一つの医療機関しか算定できない(原則)
② 投薬の費用は別に算定できない
③ 在宅がん医療総合管理料を算定した患者には算定できない
④ 在宅寝たきり患者処置指導管理料を除く在宅療養指導管理料は算定できる
⑤ 月一回の訪問診療でも算定できるが、往診のみでは算定できない
【算定できる加算】
■処方箋を交付しない場合の加算 300点
内服・外用の薬剤を院内処方し、在宅療養指導管理で使用する在宅薬剤のみ院外処方の場合は算定可能です。当該月に処方を行わなかった場合、また前月に2月分処方をしている場合などは算定ができませんので注意しましょう。
■頻回訪問加算 600点
末期の悪性腫瘍患者や在宅自己腹膜灌流指導管理をはじめとする在宅医療管理料を算定している患者で、ドレーンチューブや留置カテーテル管理、人工肛門や人工膀胱を設置している場合などで月4回以上の訪問診療を行った場合には算定ができます。
該当する場合は、点数表で確認をしましょう。
■在宅移行早期加算 100点
在宅医療に移行後、当該点数を算定した日の属する月から起算して3月以内の期間、月1回に限り加算ができます。ただし在宅医療に移行後、1年を経過した場合は算定できません。
■包括的支援加算 150点(月1回)
通院が特に困難な患者や他医療機関や施設等の関係機関との調整や連携に特に支援を要する患者への対応を評価したものです。
<対象患者>
・要介護2以上、障害支援区分2以上、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱb以上
・週1回以上の訪問看護を受けている患者
・訪問診療時や訪問看護時に注射・喀痰吸引・鼻腔栄養を行っている
・特定施設の入居者では、看護職員が注射・喀痰吸引・鼻腔栄養を行っている
・特別な医学管理を必要とする状態
■継続診療加算 216点(月に1回)
在宅療養支援診療所以外の診療所が算定できる加算です。外来患者が通院困難になり、訪問診療に移行しても継続して診療を提供できる体制を確保することを評価したものです。以下のすべての要件を満たす場合
<算定要件>
・在宅療養支援診療所以外の診療所のみ
・外来を4回以上受診した後に訪問診療に移行した患者
・24時間の往診体制、連絡体制を患者ごとに構築(連携する医療機関との協力も可能)
・訪問看護が必要な患者に訪問看護を提供していること(当該医療機関又は連携する他の医療機関若しくは連携する訪問看護ステーションが訪問看護を提供する体制を確保)
・緊急時に注意事項など文書により提供し説明していること
※仮に連携する医療機関により訪問診療を行った場合にはその医療機関では、往診料を算定します(在医総管・訪問診療料は算定できません)。
以上がルールになります。
さあ、皆さん、如何でしたでしょうか?
3回に分けて説明をしてきました。事務職員の方がしっかりと理解して、現場をサポートできるようにしていきましょう。
この内容は、重要なところを抜粋して記載しています。このため、この文章を参考にしながら、点数表の通知等をしっかりと読みこんでいただきたいなと思っております。
在宅医療は手間や時間がかかる分、点数が高く設定されています。それだけ、地域生活を支えていくためには、大事な役割があると評価されています。
皆さんも、請求漏れや誤請求がないようにしていきましょうね。
<参考資料>
■診療点数早見表(医学通信社)・・・在宅医療(在宅患者診療・指導料)
医科点数表の解釈(社会保険研究所)
■たんぽぽ先生の在宅報酬算定マニュアル(第6)(日経BP)
シリーズ①~算定要件と施設基準について~
シリーズ②~算定方法について~
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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