他の医療機関でPEGの造設をした方ですが、算定はどうしたらいいですか?
長 幸美
医療介護あれこれ本コラムの内容は、執筆時点での法令等に基づいています。また、本記事に関する個別のお問い合わせは承っておりませんのでご了承ください。
先日、ある医療機関の事務職員さんから「他の医療機関でPEG(胃瘻)を造設された患者さんが紹介され、当院に来院されるケースがありました。どう算定したらいいですか?」と質問されるケースがありました。
PEGに関する算定は、①造設、②交換、③在宅・外来での管理という3つのフェーズに分けて考えると整理しやすくなります。今回は、造設した後の在宅・外来での管理の視点を中心に、どのような留意事項があるか等、一緒に整理していきたいと思います。
PEGとは・・・?
お腹に小さな穴(胃ろう)をあけ、口から食事のとれない方や、食べてもむせ込んで肺炎などを起こしやすい方に、カテーテルを挿入して、直接胃に栄養を入れる経腸栄養療法です。
胃ろうを造る手術のことをPEG(Percutaneous Endoscopic Gastrostomy:経皮内視鏡的胃瘻造設術)と呼びます。カテーテルには色々な種類がありますが、主なものはバンパー型・バルーン型といわれるものになります。また、カテーテルを留置した状態のままか抜いて蓋をするか(ボタン型)によっても分けられます。
PEGの主な適応
PEGの主な適応患者さんとしては、
・神経疾患や脳血管疾患などで嚥下障害がある方
・長期的に経腸栄養が必要な方
・誤嚥性肺炎を繰り返す方
などがあげられますが、単に口から食べにくいというよりも、医学的に「安全に経口摂取できない」状態かどうかを客観的に評価することが求められます。PEGは嚥下リハビリを放棄するための手段ではなく、栄養状態を保ちながらリハビリを進めるための医療的選択肢として位置付けられます。
具体的には、以下のような評価を踏まえて適応の判断をすることが必要になります。
1)スクリーニング
①水飲みテスト(反復唾液嚥下テスト)
⇒一定量の水を飲み、むせや呼吸変化、嚥下音などを観察する
2)精密検査
②VF(嚥下造影検査)
⇒造影剤を飲みX線透視下で嚥下過程を観察する
③VE(嚥下内視鏡検査)
⇒ファイバーで喉頭・咽頭の動きを観察する
胃瘻の目的
何よりも、「栄養状態の維持・改善」が主な目的になりますが、経鼻的にカテーテルを挿入していると、本人の不快感や誤嚥リスクが高くなってくるので、在宅での栄養管理が難しくなってくる場合が多く、在宅療養(ケア)を行う上で、栄養管理を比較的やりやすくなることが考えられます。
PEG(経皮内視鏡的胃瘻増設術)増設後の算定
PEG増設については、またの機会にお話ししたいと思いますが、今回は、「他院でPEG増設した後の管理や保険請求をどうするのか」という質問でしたので、在宅での管理について、お話ししていきたいと思います。
おそらく、嚥下障害がある患者に対し、「入院し、PEG増設を行い、在宅での管理についての指導」を受けて退院し、皆様の医療機関で治療管理を継続するケースが多いのではないかと思います。
患者さんの状態としては、嚥下障害以外はお元気で外来通院されるケース、または、通院も困難になり訪問診療を受けられるケースが考えられます。
C105-3_在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料
・算定対象 :PEG造設後1年以内
・対象栄養剤:半固形栄養剤(薬価収載/一部市販品)
・退院時指導が必要な場合あり
PEG(胃瘻)造設後1年以内に経腸栄養療法(半固形栄養法)を開始した場合に限り、算定が可能です。
また、この加算は算定開始から1年間のみ認められており、造設から3年が経過している場合は対象外となりますので注意が必要です。算定対象は在宅半固形栄養経管栄養法により、単なる液体状の栄養剤等を用いた場合に比べて投与時間の短縮が可能なもので医師が必要であると認めた場合が条件です。
この場合、栄養カテーテルのセットについては、「C162_栄養管セット加算」として算定が可能です。
使用する医療材料についてしっかり確認するようにしましょう!
C109_在宅寝たきり患者処置指導管理料
・対 象 :寝たきりまたは準寝たきり患者
・処置項目:創傷処置、鼻腔栄養、喀痰吸引など
寝たきりまたはそれに準ずる状態の患者さんに対して、原則として医師が訪問診療でPEG管理などの指導を行った場合に算定可能です。
これは、家庭において療養を行っている「寝たきり」若しくは「準寝たきり」の状態の患者さんが対象になります。つまり、日常生活動作(ADL)が制限されている患者さんが対象です。
例外的に、家族に付き添われて外来通院ができる場合も、「準寝たきり」として対象となりますが、
レセプト作成時にコメントなどで付記されたほうが良いと思います。
対象の処置に関しては、「創傷処置」「皮膚科軟膏処置」「留置カテーテル設置」「膀胱洗浄」「導尿」「鼻腔栄養」「ストーマ処置」「喀痰吸引」「介達牽引」「消炎鎮痛等処置」などが該当してきます。
この場合の医療材料については、特定保健医療材料として算定可能なものもありますので、使用しているカテーテル等の区分をしっかり確認するようにしましょう!
J043-4_経管栄養・薬剤投与用カテーテル交換法
では、胃ろうカテーテルの交換などはどのような頻度で実施されるのでしょうか?
前段で「バンパー型」と「バルーン型」に分けることができるとご説明しましたが、これは胃ろうカテーテルの固定方法の違いです。
「バルーン型」は、蒸留水などをバルーンに入れ膨らまして固定します。「バンパー型」はバルーンではなく、シリコーン型のストッパーのようなもので固定します。この為交換頻度がバルーン型よりも減らすことができます。
| 胃ろうのタイプ | 特 徴 | 交換頻度 |
| バンパー型 | 胃内にあるシリコーン製の固定板(バンパー)で固定 抜けにくい、痛みや圧迫感を感じやすい | およそ6か月ごと |
| バルーン型 | バルーンに蒸留水を入れ固定 引っ張ると抜けることがある、違和感は比較的少ない | およそ2~3か月ごと |
交換実施後、安全性を確認するために画像診断・内視鏡による術後の確認を行った場合に算定するものとされています。
確認した時の画像診断と内視鏡検査の診療報酬は、当日1回に限り算定できるとされていますが、透視診断の費用は算定できないものとされていますので、ご留意ください。
また、交換後は、レセプト摘要欄に【J043-4 胃瘻カテーテル交換 在宅/外来(○/○)】などと明記しておくと返戻防止につながります。併せて特定保険医療材料の算定も忘れずに算定しましょう!
外来等で併算定できない項目(該当指導管理料のみ抜粋)
外来診療では、「再診料」+「在宅療養指導管理費」として算定が可能です。その他の検査などがあれば、検査料も算定できます。しかし、ここで注意が必要なことがあります。
在宅療養指導管理料を算定している患者には、併算定できない処置項目等があることです。
原則:在宅療養指導管理料と併算定できない処置がある
特掲診療料の通則で、在宅療養指導管理料(C100~C121)と一緒に実施した場合に併算定できない項目が記載されています。以下の指導管理料及び精神科療法については、在宅療養指導管理料との併算定ができません。
・B000 特定疾患療養管理料
・B001 特定疾患治療管理料「1」ウイルス疾患指導料
「4」小児特定疾患カウンセリング料
「5」小児科療養指導料
「6」てんかん指導料
「7」難病外来指導管理料
「8」皮膚科特定疾患指導管理料
「17」慢性疼痛疾患管理料
「18」小児悪性腫瘍患者指導管理料
「21」耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料
・C001~121 在宅療養指導管理料
・I004 心身医学療法
次に「よくある該当項目」だけをピックアップ
また、それぞれの在宅療養指導管理料にも、外来等で併算定できない細かい項目が記載されています。
| 在宅療養指導管理料 | 外来等で併算定できない項目 |
| C105-3 在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料 | 鼻腔栄養 |
| C109 在宅寝たきり患者処置指導管理料 | <当該指導管理料を算定する外来患者には算定できない項目> 創傷処置、爪甲除去術(麻酔を要しないもの)、穿刺排膿後薬液注入、 皮膚科軟膏処置、留置カテーテル処置、膀胱洗浄、後部尿道洗浄 (ウルツマン)、導尿(尿道拡張を要するもの)、鼻腔栄養、ストーマ 処置、喀痰吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出、介達牽引、強制固定、変形機会矯正術、消炎鎮痛等処置、腰部又は胸部固定帯固定、 低出力レーザー照射、肛門処置(薬剤・材料の費用を含む) |
在宅訪問診療における毎月の算定方法
在宅訪問診療料を実施している患者さんが「在宅療養指導管理」を必要とする場合、
「訪問診療料」+「該当する在宅療養指導管理料」+「在宅療養指導管理材料加算」+「薬剤料」
の算定が可能です。算定要件を確認し、算定するようにしましょう!
よく聞かれる質問
ここで、よく質問を受ける項目で、PEGの管理に関するものをいくつか見てみましょう。
①PEGの薬剤の処方は院外処方でもいいですか?
はい、院外処方せんで調剤薬局さんからもらうこともできます。
但し、処方せんに記載するのですが「処方」ではなく、「在宅薬剤」となりますので、処方箋料は算定できません。薬剤料も調剤薬局で算定されますので、ご留意ください。
他の薬剤と一緒に出してもらうこともできますが、その場合の処方箋料は算定可能です。
②院外処方しているのですが、PEGの薬剤は院内処方できますか?
同日に院外処方と院内処方が出来ないルールがあるため、算定できないと思われたようですが、PEGで使用する薬剤は「在宅薬剤」となりますので、このルールには該当しません。従って院内でお渡ししていただけます。
③薬価がないものを使用してこの在宅療養指導管理料は算定できますか?
例えば、メイバランスやカロリーメイトなどです。
通知の中には、以下のように記載があります。
(1) 在宅半固形栄養経管栄養法とは、諸種の原因によって経口摂取が著しく困難な患者であって栄養管理を目的として胃瘻を造設しているものについて、在宅での療養を行っている患者自らが実施する栄養法をいう。このうち在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料算定の対象となるのは、栄養維持のために、主として、使用薬剤の薬価(薬価基準)(平成 20 年厚生労働省告示第 60 号。以下「薬価基準」という。)に収載されている高カロリー薬又は薬価基準に収載されていない流動食(市販されているものに限る。以下この区分において同じ。)であって、投与時間の短縮が可能な形状にあらかじめ調整された半固形状のもの(以下「半固形栄養剤等」という。)を用いた場合のみであり、主として、単なる液体状の栄養剤等、半固形栄養剤等以外のものを用いた場合は該当しない。ただし、半固形栄養剤等のうち、薬価基準に収載されていない流動食を使用する場合にあっては、入院中の患者に対して退院時に当該指導管理を行っている必要がある。
令和6年度保医発0305-4(改定通知資料)より
つまり、半固形栄養剤として市販されているものであれば、薬価収載されていないものでも使用することは可能になります。なお、半固形栄養剤として算定する場合は、退院時に当該指導が行われていることが必須であるため、紹介元医療機関との情報共有(紹介状・退院サマリーの確認)が実務上のカギになります。
まとめ
今回、「他医療機関でPEG増設をした方が当院で在宅管理を行う場合の算定について」質問があり、いろいろとお話をしてきました。
最後に「算定のポイント」です。
・PEG算定は「造設」「交換」「管理」に分けて考える
・交換はJ043-4(処置)で算定、医療材料料も忘れずに
・在宅半固形栄養は薬価未収載でも条件付きで算定可
・併算定できない項目の確認を徹底する
そもそも、PEGや胃ろう自体がよくわからないという医事課職員さんがいるかもしれません。
高齢者は、だんだん咀嚼や嚥下機能が落ちてしまい、ご飯が食べれなくなってくるケースが多く発生します。地域の生活の場でQOLを考えたときに、胃ろう(PEG)も選択肢の一つになってくる場合があると認識し医療行為を覚えておきましょう。このような場合にどのようなサポートができ、どのような算定をしていくのか、これを機会に院内で一緒に確認してみましょう!
<参考資料> 令和7年10月27日確認
◆厚生労働省/令和6年度診療報酬改定について
・別表第1_診療報酬点数表 ⇒(こちら)
第2節 在宅療養指導管理料2節 在宅療養指導管理料 151p~
C105-3 在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料 154p
・別添1 医科診療報酬点数表に関する事項 保医発0305-(4)
在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料 278p~
在宅寝たきり患者処置指導管理料 285p~
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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