【医療介護あれこれ】オンライン資格確認

長 幸美

アドバイザリー

皆さん「オンライン資格確認」が開始されるのは、ご存知でしょうか?
まだ、聞いたことがないという方もいらっしゃるかもしれませんが、テレビでCMも始まっていますので、一度は聞いたことがあるワードではないでしょうか?
「オンライン資格確認」とは、その名の通り、保険証の資格確認を「オンライン」つまり、支払基金や国保連合会とネットで接続して行う仕組みをいいます。
来年、令和3年3月から開始される新しい仕組みですが、このサービス開始に伴い、受付の事務作業が変わってきます。どのようなものか、概要を一緒に学んでいきましょう。

【オンライン資格確認で分かること】
現在は、「主保険(親保険)」といわれる「国保」「後期高齢者」「社保」の保険情報が、支払基金等のサーバーに接続することにより、確認し保険情報を取り込むことができるようになります。従って、「保険の資格喪失」など、資格過誤による返戻のリスクがなくなりますし、保険証番号の誤入力もなくなります。
「主保険」の情報に紐づけされている「限度額認定証」の区分の入力もなくなり、とても楽になります!

しかしながら、今現在では、主保険以外の「公費」といわれるものに関しては、情報が得られないという難問が残されています。自治体が管理している公費負担事業や地方単独事業については、引き続き検討項目とされています。
生活保護の情報は令和5年度中に整備される予定とされています。

【保険証確認の方法】
資格確認の方法は2パターンあります。
① マイナンバーカードを用いるパターン :顔認証又は暗証番号(4桁)
② 従来の保険証を利用するパターン :サーバー接続端末の操作

マイナンバーカードを用いた確認を行う場合(①)でも、受付職員がマイナンバーカードを扱う必要はありません。受付に設置した端末で、患者さん自身が操作を行い、資格確認の情報を、サーバー端末を介して情報を得る仕組みとなります。
一方、②の場合では、受付職員がサーバー端末を操作し、支払基金等に保険情報を照会するという仕組みになります。
従って、患者さんが持参される「もの」によって、確認方法が変わってきますので、受付の作業動線も変わってくることになります。

【その他、付随して得られる情報】
■医療機関のメリット
患者さんの同意を得ることにより、薬剤情報・特定健診情報の閲覧が可能になります。マイナンバーカードによる認証時に「薬剤情報・特定健診情報等」について医療機関や薬局が閲覧することを同意するかどうか、の同意確認にタッチすることで、医療機関や調剤薬局側は閲覧できるようになります。

メリット:薬剤情報・特定健診の閲覧
(出典:厚労省「健康保険証の資格確認がオンラインで可能となります」より)

■災害時の特別措置
非常時の対応として、マイナンバーカードによる本人確認ができなくでも、薬剤情報と特定健診情報の閲覧ができるようになります。

【今後のシステムにのせる情報の拡大】
■公費情報の取扱いについて
今現在、情報の連携ができず、今後の課題とされています。つまり、生活保護をはじめ市町村が主管する公費の情報に関しては、このシステム上確認することがまだできないからです。また、難病医療証の負担額の管理についても、手書きの管理簿での管理はのこり、課題とされています。
なお、現在のところ、生活保護の情報は令和5年になる予定とのことです。

■調剤薬局への「電子処方箋」の取扱いが令和4年に予定されていますし、病名、手術情報、透析情報等についても、対象とされることが予定されています。

【医療機関・薬局への補助制度】
「顔認証付きカードリーダー」については医療機関及び薬局に無償提供されることとされています。

■しかしながら、システムの導入に際して必要な電子カルテやレセコン等の既存システムの改修、ネットワーク環境の整備、等は医療機関及び薬局が行う必要があります。その費用負担については、下記の通り、補助金が準備されています。システムベンダーに見積もり等を確認し、補助金についても相談されてください。

医療機関への補助
(出典:厚労省「健康保険証の資格確認がオンラインで可能となります」より)

如何でしょうか・・・
すでにテレビCMでは、マイナンバーカードの普及を図るべく、広報大作戦が開始されています。現状では作業内容等の検証もできていないと思いますので、「すぐに導入を検討する」という時期ではないかなと思いますが、電子処方箋の導入やモバイル端末でのオンライン資格確認、全国の医療機関や薬局での確認できる情報の拡大などが始まれば、必然的にやらざるを得ない状況になるのではないか、ということも懸念されます。

現在の保険証が使えなくなるわけではありませんが、患者さまからの問い合わせ等も増えてくることと思います。どのような制度なのか、何が変わるのか、ということは知っておかれるとよいのではないかと思います。
システム改修等の詳しい内容については、電カル・レセコンのベンダーに声をかけていただければと思います。

<参考資料>
〇オンライン資格確認の導入について(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08280.html

医業経営支援課

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