【令和2年度診療報酬改定】精神科訪問看護の変更点

長 幸美

アドバイザリー

今回改定の中で、「精神科の患者も地域の中での生活」ということに対し、評価の見直しが行われました。マイナーな印象を受けるかもしれませんが、より効果的な訪問看護の提供を推進し、在宅での生活を支える観点からの見直しであると思います。
今回は、精神科訪問看護の変更点を整理していきましょう。

精神障害を有する者への訪問看護の見直し(出典:厚労省「令和2年度診療報酬改定の概要)より

変更点は3点
① 従来の「保健師・看護師・作業療法士又は精神保健福祉士による場合」が訪問した職種ごとに区分されました。点数の配点は同じとされています。
② 訪問看護記録書や報告書、明細書に「GAF尺度」による評価を記載することとされました。実質上の要件化となります。
③ 複数名精神科訪問看護加算の見直しです。指示を明確にすることと、同一建物の複数の居住者に訪問看護を提供した場合、その人数に応じた評価に変更されています。

もう一つ、見逃してはいけないことがあります。
今回の改定で、訪問看護で変更されたものはこの3点ですが、この三点を組み合わせると、どのような状態の患者(②で評価されている)に、どんな職種(①)が、何人で関わっているか(③)ということが、レセプト上集約されていく、ということです。

大きく点数が変わっているわけでもないし、レセプトの記載が少し変わって面倒くさくなっただけだから・・・という声をよく聞くのですが、そうでしょうか?
月の初回の訪問看護時に患者の状態評価を実施しなければならず、精神障害を持つ患者さんが地域の中で暮らしていくために必要な訪問看護サービスの提供はどういうものか、検証が行われるといっても過言ではないと考えています。
また、同一建物内への訪問看護についても、居住している患者の人数により算定が変更になっているところも見逃せません。重ねて、訪問看護ステーションとの兼ね合いや、介護保険と医療保険との給付調整もあり、個別に対応していく難しさもあると思います。

ただ、精神障害を持った方の在宅移行について、この訪問看護の役割が大きくなってきているのは確かなことだと思います。この機会に一度見直しをして、どのような患者への訪問看護を提供していて、地域にある精神科病院の訪問看護として何を求められているのか、話し合ってみられるのが良いのではないかと思います。

<参考資料>
〇厚労省:令和2年度診療報酬改定の概要(在宅医療・訪問看護)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000608534.pdf

医業経営支援課

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