【令和2年度診療報酬改定】依存症集団療法(ギャンブル依存症)について

長 幸美

アドバイザリー

今回「精神科医療」についても、細かな見直しが行われています。ひとつは多職種とのかかわりの中で地域生活を送ることが評価されてきたこと。もう一つが今回テーマとしている「依存症集団療法」の新設です。今回は、この新たな診療報酬について整理しましょう。

そもそも依存症は、「薬物依存」「アルコール依存」「喫煙」など、様々なものがあります。令和2年度の改定では、この「依存症集団療法」の中に「標準的治療プログラム」に沿って治療を行った場合の評価が新設(追加)されました。

ギャンブル依存症に対する治療の評価(出典:厚労省「令和2年度診療報酬改定の概要」説明会資料より)

ギャンブル依存症とは、一般的に「パチンコなどのかけ事にのめり込むことにより、日常生活に支障が生じ、治療を必要とする状態」を指します。
ギャンブルにのめりこむ原因は人それぞれでしょう。しかし、「やめたいのにやめられない、脳がギャンブルを求め、ギャンブルを中心に考えてしまう病」だと解説があります。借金を抱えてしまったり、財産を失ったり、大きな被害が発生し、反復性があることで問題になっています。
冒頭申し上げた「標準的治療プログラム」は、米国の集団認知行動療法のプログラムなどを参考に日本で作られた「ギャンブル依存症」に対する集団療法プログラムで、医師や看護師、精神保健福祉士、公認心理師らが実施するものです。
厚労省によると、このプログラムの効果を検証したところ、プログラム終了後、介入群と対象群を比較した時に、介入されていた方が対象群に比べて、再びギャンブルを行う人が少なかったという結果が報告されています。

このため、算定要件には、
① 精神科医やその指示を受けた看護師、作業療法士精、神保健福祉士、公認心理師による実践であること、(研修要件あり)
② 「ギャンブル障害の標準的治療プログラム」に沿って、ギャンブルの実施を患者自らがコントロールする手法等を習得するための指導を行うこと
③ 1回あたり10人に限り、60分以上実施すること
が求められています。
また、治療に関しては、集団療法で、2週間に1回、治療開始から3か月を限度に算定が可能であり、文中の「研修要件」は疑義解釈(その1)で、「独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターの主催するギャンブル障害の標準的治療プログラム研修」であるとされています。

医業経営支援課

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