【令和2年度診療報酬改定】有床診療所の入院機能の見直しについて

長 幸美

アドバイザリー

今回の改定の中で、「有床診療所」は少しプラスの改定となりました。
今日はその有床診療所の役割を前回改定の振り返りとともに確認して、今回の改定にどのようにつながっているのかを確認しましょう。

前回改定では、有床診療所の医療機能として、以下のスライドのように整理されていました。地域の中で医療機能を充実させていくためには、フリーアクセスの基本はまもりつつも、限りある医療資源を有効活用するために「緩やかなゲートキーパー機能」の導入は必要であると考えられています。つまり、「診療所」は外来や訪問診療等のかかりつけ医機能を強化してほしい・・・その対応のための平成30年度の改定でした。

平成30年度診療報酬改定_外来医療の今後の方向性(イメージ)

(出典:平成30年度診療報酬改定の概要より)

この改定を受けて、令和2年度の診療報酬改定では、さらに「地域の中での医療の機能分化」を強力に進めていく必要があると判断され、以下のように3点の評価の見直しが行われました。

有床診療所入院基本料等の見直し

(出典:令和2年度診療報酬改定の概要より)

1点目は、有床診療所一般病床初期加算の見直しです。
これは病院からの「早期退院患者の在宅・介護施設への受け渡し」や「終末期医療を担う」という機能等をさらに推進する観点からの見直しです。内容は、これまで転院又は入院初日から起算して7日間の算定だったものが、14日間に拡大しました。さらに、加算点数も50点引き上げられ、1日150点になりました。

2点目は、医療従事者の配置にかかる評価の見直しです。
医師の配置、看護職員の配置、夜間の看護職員や介護職員の配置について、それぞれに10点~30点の増点となります。看護職員を追加的に配置(10名以上)し、夜間の体制(2名以上の配置)等も整えられている医療機関は、今一度確認してみられてください。

3点目は、有床診療所の緩和ケア診療加算についてです。
こちらは、1日につき100点増点となり、250点と評価が大きくアップしました。さらに、対象疾患も、末期心不全患者についても対象となりますので、該当する患者さんがいらっしゃる診療所は、是非検討されては如何でしょうか?

<参考資料>
〇厚労省:令和2年度診療報酬改定の概要説明会資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352_00001.html

※「05令和2年度診療報酬改定の概要(入院医療)」をご参照ください。

医業経営支援課

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