【平成30年度診療報酬・介護報酬改定】入院医療(その7)

長 幸美

アドバイザリー

中医協の審議会が、分科会の開催とともに頻繁になってきました。
今回は入院医療(その7)を見ていきたいと思います。

今回の審議の中で一番の注目は、一般入院料の中で、7対1及び10対1の取り扱いに対するものだと思います。「看護配置などに応じた基本部分」と「診療実績に応じた段階的な評価」を組み合わせて、「中間的な評価」を設けることが提案されています。
下記に示しているスライドは「入院医療の医療ニーズと医療投入量の関係を表しています。

出典:中医協(20171124)「入院医療(その7)」より

 

現在の一般病棟入院基本料(7対1、10対1)の基準の比較です。

出典:中医協(20171124)「入院医療(その7)」より

 

この中で、「重症度、医療・看護必要度」にかかる評価が7対1は25%以上であることが基準とされているが、10対1については加算として評価がついています。
この差額250点余りが、7対1を目指すインセンティブとなっていますので、これが年間換算になると・・・厚労省の発表によると200床の病院で年間1.2億円程度の減収になるというのです・・・何が何でも7対1・・・と思うのは仕方がないのかもしれません。

出典:中医協(20171124)「入院医療(その7)」より

 

しかしながら、本来の「医療機能」見直しを掲げている厚労省にしてみれば、中間的な評価をつけることにより、段階的な評価部分と組み合わせて「診療実績に応じた段階的」な評価を取り入れ、診療報酬の評価とつなげて整理をし直すことを提案されています。
これは注目していく必要がありそうですね。

出典:中医協(20171124)「入院医療(その7)」より

 

また、DPCデータについては、定義の違いによる誤差を考慮する必要があることも議論の中にあるということを知っておく必要があるかと思います。

地域包括ケア病棟の評価では、「救急・在宅等支援病床初期加算」について、「入院前の居場所」の違いにより議論が行われています。
入棟前の居場所別に入棟中の患者の医療的な状態をみると、入棟前の居場所が「自宅等」の群の患者は、「自院の7対1、10対1病床」、「他院の7対1,10対1病床」の群に比べ、「安定している」という回答の割合が少ないという結果の報告があり、その場合、検査の実施等が多いということです。

出典:中医協(20171124)「入院医療(その7)」より

 

今回の中医協では「在宅復帰率」についても議論されています。どういうことかというと、在宅復帰率の計算式や定義を根本的に見直しましょうということだと思います。

出典:中医協(20171124)「入院医療(その7)」より

 

たとえば、在宅復帰を目的とする「地域包括ケア病床」や「回復期リハビリテーション病棟」も在宅復帰率の対象としてカウントされています。しかし、「自院の中での転棟」については本来の「在宅復帰」の中では想定されていないのではないかということで「自院の多病棟への転倒患者は在宅復帰のカウントからはずす」という意見が出されています。このことにより、基準値が満たせるのかどうか、「退院先」について、また、「入院元」についてもぜひ確認をしていく必要があると思います。

在宅復帰率に関しては、介護医療院の取り扱いについても注目していくことが必要ですね。

 

【参考資料】
中医協資料(20171124):入院医療(その7)

経営支援課

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