コラム de スタディ

2017.11.20.
【平成30年度診療報酬・介護報酬改定】在宅医療(その3)

紅葉で山が華やかに彩られています。季節は冬へ向かって一直線?!
もう少し、ゆっくりと晩秋を楽しみたいものです。

さて、今回は「在宅医療(その3)」をみていきましょう。

 

【医療と介護の連携】
今、時代の流れは、「施設・病院から住み慣れた地域で!」という流れになってきています。これは何も「団塊の世代だから・・・」「人口問題があり地域包括が叫ばれる時代だから・・・」というわけではなく、至極当たり前のことだと思います。

「病院」は治療の場であって、生活する場ではありません。治療が終われば「退院して自宅に帰る」ということは当たり前のことです。
しかしながら世の中の病院では「退院できない」と思い込み、退院させたがらない家族(本人もいるかもしれません)が、なんと多いことか!!

当たり前のことではありますが、自宅で生活をするには、不安を抱えた方が多くおられます。

自宅退院できない理由としては・・・

  • 共働きで日中家に家族がいない
  • 高齢者世帯で、家族が同居していない
  • 小さな子供に手がかかる
  • 介護は大変だから・・・
  • 障害(半身まひなど)があり、どう対応したらいいかわからない、など

このような状況の打開策として、住宅型の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの整備が行われています。これら高齢者向けの住まいの条件が以下の通りです。

出典:20171110中医協資料「在宅医療(その3)」より

 

訪問診療時の医師が実施した診療内容等については、「視聴打診・触診」「バイタル測定」「問診」「薬剤の処方」が主な内容となっていますが、その他では、

  1. 患者家族等への病状説明、
  2. 訪問看護ステーションへの指導、
  3. 居宅介護支援事業所との連携、が主な内容とされています。

それに比べ、気管切開・カニューレ交換や抗がん剤の点滴注射、モルヒネ等の緩和ケア、胸水・腹水の穿刺など、特定の医療処置に関する医療行為は少ないという傾向がわかりました。
看取りを考えていくと、この医療行為を担保していくことが必要になると考えます。

また、介護療養病棟及び医療療養型の25対1の病床について、来年春までとされており、6年間の経過措置が設けられましたが、すでに10数年の延長が行われており、リハビリテーションとともに、そろそろ限界ではないかと思われます。

そこで出されたのが、この「介護医療院」です。6年間の経過措置があるとはいえ、現状の入院機能や入院患者さんの分析、周辺の医療機能・介護機能の分析を行い、早急に対応を検討されることが必要ではないでしょうか?

出典:20171110中医協資料「在宅医療(その3)」より

 

在宅生活を支えていくうえで重要なことは、ケアマネージャーの役割です。
医療が必要な方の生活を支えていくうえでも、特にターミナルの悪性腫瘍の在宅患者について、患者の状態変化に伴い、いかに適切なサービスを提供するのか、情報共有と連携をどのように評価していくのかが重要なことです。

また、「看取り」についても考えていかなくてはなりません。
ターミナル期をどのように過ごしたいのか、ということをアンケートすると、ほとんどの方が、「自宅で過ごしたい」という回答があります。しかしながら、家族への遠慮や自宅対応による不安などで病院を選択する方が少なくありません。今後介護系の施設でも看取りへの対応をどのように体制づくりしていくのか、重要になってきます。

出典:20171110中医協資料「在宅医療(その3)」より

 

また、そのターミナル期に対し、診療報酬上で手厚く評価されていますが、いつ何時異変が起こっても対応するためには「24時間体制」でなければならず、クリニックの先生方にとってはハードルが高いものになります。

在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院など、いかに連携して地域を支えていくのか、ということが重要になってきます。

訪問看護についても同様です。機能強化型の訪問看護ステーションが前回改定で評価されていますが、今後、看護師の役割は大きくなり、この訪問看護ステーションが鍵を握るといっても言い過ぎではないように感じます。

出典:20171110中医協資料「在宅医療(その3)」より

 

ターミナル期を安心して自宅で過ごしていただくためにはガイドラインとともに医療機関としての立ち位置をしっかりと確立し、支援できる体制が求められます。

 

【在宅医療】
「かかりつけ医」「かかりつけ薬剤師」という考え方が、前回の改定で明確に定義づけられてきました。
しかしながら、複合的な疾患を抱えている患者にとって、最良の医療サービスを受けるためには、複数の医師による診療が必要な方が少なからずあります。この方々にどのような医療提供体制が必要なのかが論点になっていると思います。

富山県、長崎県の取り組みをもとに、スタッフの負担軽減等の観点からも、複数医師の訪問診療について診療報酬上の評価が検討されています。今後注目していきたいと思います。

往診については、「患者やその家族の求めに応じて患家に赴いて診療を行う」ことを評価したものですが、住宅型の有料老人ホームをはじめとして、「何かあった時には施設側が家族に代わって本人が拒否しない限り往診を求める」と規定して対応されているところもあるようです。
医学的に必要な往診であるかどうか、緊急性があるのかというところがポイントになりますが、このような契約を行い対応しているため、今後このような事例について規制・・・新たなルールが決められることが考えられます。

 

【在宅歯科医療】
8020運動から久しいのですが、今、歯科診療は「フレイル」「予防」の時代に入っているようです。訪問歯科診療についても訪問診療同様に同一建物居住者に対し見直しが行われています。歯科の訪問診療を行う診療所はまだまだ少なく医科の1/4程度ではないでしょうか?