賃貸契約書における消費税について

佐々木総研

税務・会計

 平成26年4月1日から消費税率が、5%から8%へ引上げが予定されています。但し、平成25年9月30日までの間に不動産賃貸契約等を締結し、その契約に係る賃貸借期間が平成26年4月1日以後になった場合等の不動産賃貸取引については、改正前の5%の税率となる経過措置が講じられています。

【賃貸借契約における経過措置】

 指定日の前日である平成25年9月30日までの間に不動産賃貸を締結し、平成26年4月1日前から同日以後引き続きその契約に基づいて不動産賃貸を行っている場合で、契約内容が次の①及び②又は①及び③の要件に該当するときは、平成26年4月1日以後の貸付けに対し消費税は改正前の5%の税率が適用されます。

① 賃貸借契約書に不動産の貸付期間及び賃料が定められていること

② 貸主が事情の変更その他の理由により、賃料の変更を求めることができる旨の定めがないこと

③ 契約期間中に当事者の一方又は双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないこと

【経過措置適用のポイント】

1.「消費税率の改正があった場合には改正後の税率による」旨の文言の条項が有る契約書は②の「変更を求めることができる旨の定め」には該当せず、経過措置(5%)が適用になります。しかし、この条項に基づいて平成26年4月1日以後の期間に係る賃貸料を実際に変更した場合には、その変更後の賃料は8%が適用されます。

2.トラブル防止のため、下記のような条項を設けた契約書が多く見受けられるようになりましたが、このような条項を設けている契約書は②の要件を満たさないことになり、経過措置は適用されず8%が適用されます。

「賃料が経済事情の変動、公租公課の増額等により不相当となったときは、賃貸人は契約期間中であっても賃料の増額請求できる。」

お手元の賃貸借契約書を事前にご確認頂き、経過措置に該当するか否かをご検討下さい。

【経過措置の適用を受けた旨の通知義務】

経過措置の適用がある貸付を行った場合については、その相手方に対して書面で通知することが求められています。(改正法附則5条⑧)賃貸借契約にあっては、契約書によって、支払いも銀行振込み等の方法が使われて、貸主から請求書や領収証を発行しない場合が多いので、通知書により「経過措置の適用により消費税5%」である旨を借主への通知するのが無難と考えます。また、経過措置の適用を受けない場合でも「消費税の改正により4月分からの家賃の消費税を8%にて」等通知するのが無難と考えます。家賃は前払することが多いので、通知は早めにお出しすることをお勧め致します。

関連記事:
国税庁 資料「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A(平成26年1月)」
財務省 資料「消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応について」
診療報酬改定レポート ~速報【消費税8%への引き上げに伴う対応(診療所・病院抜粋)】※会員ページ内

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