医療機関のホームページ

楢橋 信一

アドバイザリー

厚生労働省の 医療情報の提供のあり方等に関する検討会 において、医療機関のホームページの掲載内容を規制するガイドライン作成についての議論が進んでいます。この議論の発端は、美容系医療サービスの広告に関する相談が、全国の消費生活センターに寄せられており、この事態を重く見た消費者庁からの要請を受けて、過剰な宣伝内容に至っている美容系医療サービスなどのホームページを規制していくとのことに始まっています。

現在の医療に関する広告規制は、2007年の医療法改正で定められた 医療広告ガイドライン が基になっています。患者らが病状に合った適切な医療機関を選択できるように 客観性、正確性を確保し得る事項 についての広告を認める一方、比較広告や誇大広告、客観的事実を証明できない内容や公序良俗に違反する広告は禁じられ、罰則規定も定められています。このガイドライン策定の際、ホームページによる宣伝掲載は除外されました。ホームページは、患者が自らの意思で情報閲覧をするものであり、不特定多数の人が自らの意思に関係なく見る広告とは性格が異なると判断されたためです。

検討会では、この状況を踏まえた議論の中で、ガイドライン作成の方向で意見がまとまりつつあり、例えば「日本一」「キャンペーン中」などの表現を禁止し、治療費や副作用の掲載を求める方向性が示されています。

ただ、どこまで規制をかけていくかとの点については、保険診療を行う医療機関のホームページも含めるべきとの意見や、あくまでも自由診療に限定すべきではないかなど、今後更なる議論の積み重ねを必要としている点も残っています。厚生労働省によると、検討会での議論が、正式に決定すれば2012年度中の完成を目指すことになるとのことです。

現在、多くの医療機関がホームページを持ち、自院の医療機能などを伝えるツールとして、有効活用されています。検討会での議論によっては、ホームページの見直しを迫られることにつながるかもしれません。

財務コンサルティング部 第二部

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